2010年12月8日水曜日

高品質と個性が地域の共存・共栄にも繋がるはず・・・という話

今に始まったことでは無い話ですが、東京周辺では都心部での出店はもちろんのこと、山手線の外側、あるいはもっと郊外で出店して頑張っているお店がたくさんあります。例えばフレンチだけに絞っても、平井の「レストラン・コバヤシ」、学芸大学の「ボン・シュマン」、池尻大橋の「OGINO」、浅草「オマージュ」、武蔵小金井「TERAKOYA」、国立「シエル・ド・リヨン」などが挙げられるでしょうか。

これらのお店に共通する特徴は、地域の中で唯一とも言える品質と個性を発揮しつつ、地域という枠から離れても最高レベルの料理を提供しており、その結果として、ガイドブックや食べログなどを見て来店するお客、そして地元のお客の両方をバランス良く獲得できていることではないでしょうか。

圧倒的な品質の高さを背景に地域のシンボル的な役割を果たしながら地元他店との共存を可能とし、より広い枠で捉えても他店との差別化ができる十分なレベルであるからこそ淘汰されない(=棲み分け、共存が可能)という構図も見えてきます。

私は兼ねてから、店の品質を高め、個性を確立することが競合力を高め、かつ他店との共存を図ることができると考えてきました。また、共存という考え方は魅力ある地域を形成する上でも必要で、魅力ある地域づくりが自店の維持・発展にも繋がると考えています。この考え方は銀座や西麻布、渋谷などの大商業地でこそもっと必要なのではないでしょうか。

例えば、銀座という地域を考えてみると、個人経営の店は初期投資が十分にできないため、家賃の高い中央通り沿いや通りから1ブロック以内程度の位置に店舗を構えるのはほぼ不可能です。再整備プロジェクトの進行に伴い、魅力的な個人店はどんどん中心部から離れた条件の悪い(?)エリアで出店せざるを得ない状況です。



銀座三越 増床後(広くなりましたね・・・)


東銀座 歌舞伎座工事完了後イメージ
(該当する1ブロックの90%くらいが工事中)

一方で、銀座の中心はどこに行っても買えるようなブランドショップなど多店舗展開型の店舗が居座り、どんどん個性の無い、魅力に乏しい街に変質しているような気がして寂しさを感じます(いくらそれぞれの店が商品数の多い旗艦店舗であっても)。銀座のような地域/街もまたレストランと同じように高い品質と独自の個性を発揮するべきだと考えており、このような「棲み分け」は異質なもの同士が地域内で密接することで得られていた相乗効果が失われているようにも感じます。

中心部の客層はこの2、3年で変わってしまいました。従来客が海外からの観光客に追い出されたという捉え方もできるかもしれません。

一方で、資本主義社会ですから、豊富な資金と展開力のある不動産デベロッパーによる再整備プロジェクトの進行は一つの流れとして受け止めるしかない部分もあり、完成した商業施設に入る店舗は高額な家賃の支払い能力を持つ無個性なチェーン店となる流れもこれまでのところ止まっていません。

個人的にはどうにかならないのか? と憤ることもあります・・・。

しかし、これらの流れをネガティブに捉えるだけでなく、高品質で特徴的な個性を持ったお店同士が地域内で交流し、様々な資源を共有することで、各店舗が共存し、あらゆる意味での相乗効果を互いに得られるのではないかと思うのです。

特定地域での滞在時間を長くしたり、有効な集客導線を作ることは間違いなくその地域での消費を促す原動力の一つのはずです。世代を問わず、良いものを求めるお客が集まる地域づくりなども視野に入れることが結果的にその場で長くお店を続けることに繋がり、せっかく身に付けた高い品質と個性の発揮にも繋がるような気がするのですが・・・どうでしょう?

そのためのヒントが先日開催された自然派ワインのイベント「FESTIVIN」にあったような気がするのですが・・・それはまた後日。

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