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2011年2月13日日曜日

見込み客(その2)~質と量、両面からの確保

前回のエントリーの続きです。
以前使った、集客プロセス の図をアップデートしたものを使って説明を試みます。

見込み客の量的・質的確保(クリックで拡大表示)


伝えたいことは大体、上図の中に書いています。

初期見込み客が1,000人居たとしても、最終的に5人しか来てくれなければ0.5%の来店率になりますね。これに基づくと、今月、50人の新規客に来てもらうためには、10,000人の初期見込み客を持たないといけないということです。

ポスティングやチラシ配布、ショップカードといった従来の方法だけなら10,000人の初期見込み客を確保するのは非常に手間のかかる話です。しかも、前回のエントリーに書いたとおり、一方通行的な情報発信だけならば、そもそも見込み客にすらなっていない可能性もある。しかも、継続的な集客アプローチ、コミュニケーションができるわけでもない(同じ内容のチラシばかりポスティングされるとうんざりしますよね? せめてメニューが変わった時点で告知する程度に留めてくれよ、と思いませんか?)。

これらに対して、インターネットを使った見込み客確保に関する優位性は誰の目から見ても明らかです。例えば、Twitterである一定の条件で絞り込んだアカウントに対してまとめてアプローチすることもできるし、お互いが何者であるかがわかった後であれば、より深いコミュニケーションもできる。正に質と量、両面からの集客アプローチができるのです。

一方でポスティングやチラシ配りが全く意味の無いものだとは申しません。
チラシ配りはお互いの顔が見えた状態ですし、しかもうまく行けばその場で直接コミュニケーションまでできる。ポスティングだって、店の近くに住む未訪客の方々に向けて情報提供するというのは、インターネットを使ったとしてもそう簡単にできることではありません(というよりほぼ不可能・・・少なくとも私はそれを可能とするアイデアを持っていません)。

ただ、これらの確率的にはどうなんだろう? チラシ配りにしたって「よろしくお願いします」と笑顔で渡そうとしても、受け取ってもらえなければ凹むでしょう。失敗は成功の元だとしても、成功に至るまで、できるだけ効率良く進みたいと考えるのが普通ではないでしょうか?

インターネットが万能だとは考えていません。自分のお店にどのようなお客に来て欲しいのか、どれくらい来て欲しいのか、そういったことを明確に意識し、それに合わせた最適な方法での集客アプローチをお勧めする、ということです。

販促費垂れ流しのまま集客がうまく行かなければ店の経営もジリ貧になっていきます。クオリティ・レストラン関係者の皆様には是非ともその辺を再考いただきたいところです。

2010年10月1日金曜日

今あるデータを活かしましょう

どこのお店でも毎月、売上目標を設定されていると思います。

売上目標の数値がどの程度、意欲的な数値であるかにも依りますが、毎月、売上目標をクリアしているお店があるとすれば、それは素晴らしいことですよね。そういう店であれば、特に販売データや顧客データの細かな分析をしなくても、それほど大きな問題は無い・・・というのは間違いです。


調子が良くないお店であれば、状況を何とか改善するための切り口を探るために。好調なお店でも、その好調の原因を把握し好調を持続させ、中長期的な目標の達成のためには、常に経営状況を示すデータに対する感度を高めておく必要があります。


よく言われることですが、日々の売上データや仕入のデータを、ただ漠然と見ていても、原因や次の一手が見えてくるわけではありません。その経営指標の性質や優先順位によって、どのような見方をするべきなのかが変わります。もちろん、好調なお店とそうでないお店とでは、重視すべき経営指標も異なります。


対前年同月比で色々な数字が出されますよね。売上、利益率、客単価など。
これらだけを診ても、「去年より景気悪いから・・・」とか「8月は猛暑日が多かったし、海外旅行者が過去最高だったらしいし」などの現象や原因をただ受容するだけで終わってしまいます。さらなる不景気の長期化も予想されていますが、そのまま流されてしまっても「仕方が無い」という言葉で済ませたくないですよね。まずは今、持っているデータを診る視点(軸)を変えたり、周囲にあるデータと突き合わせたりして課題やその解決策が見えてくるかを確認し、データが不足していると判断できるなら、追加収集してみてはどうでしょうか。これらのデータを最大限分析・活用することで、既存資産を活かしつつ費用対効果の高い集客・販促を実行する手だてが少しずつ見えてくるはずです。


何か例を・・・ということで、以下のような基礎データを持つ、ビストロがあると仮定します。

席数 20
平均客席稼働率 78.0%
平均客単価 ¥8,000
月平均営業日数 25


このデータからどんな気づきが得られるでしょうか?


稼働率78%という数字の良し悪しを判断することもできません(= どこに課題があるのかもわからない)し、客席稼働率をどうすれば上げられるか、あるいは客単価をどうすれば上げられるかといった課題解決の動機付けになるような情報にはなりません(本来は平均原価率や損益分岐点がいくらなのかくらいは最低限はっきりするべきかと・・・)。


このデータにもう少し情報を追加して、以下では客単価における課題発見というストーリーをシミュレーションしてみます。
2つの売上構成のパターン(パターンAとB)があると仮定します。
客単価範囲
(円)
パターンA
(人)
パターンB
(人)
2001~4000 38 63
4001~6000 68 102
6001~8000 113 84
8001~10000 72 40
10001~12000 53 23
12001~14000 29 12
14001~16000 11 29
16001~18000 6 37
来客数/月 390 390
客単価 ¥8,000.0 ¥8,000.0


どちらのパターンも客単価は8,000円ちょうど、来客数/月も同じ390人です。このデータをグラフ化してみます。
どうでしょう、表形式で見るよりも随分と視覚化されて色々な気づきや課題が見えてきませんか?


パターンAはこの店の中心顧客が客単価6,001~8,000円付近に分布するのに対し、パターンBは4,001~6,000円付近と16,001~18,000円付近の2つのピークに分布しています。これは平均単価だけを求めているだけでは決して気づくことが出来ないものだということがわかります。


パターンAの場合、10,000円以上の高額消費をしてくれるお客が少ないようなので、6,001~8,000円遣ってくれる中心客にグラスワインをさらに提案したり、チーズやデザート、食後酒を薦める案や料理とワインのマリアージュ・セットなども考えられるかもしれません。


パターンBの場合は、ちょっと高額なボトルワインを頼んでくれるお客が居そうです。ワインの格に合わせた中~上食材を使ったメニューの提供や、従来、低価格のボトルワインを注文していたお客がもう少しだけ手を伸ばし易いように、中価格ワインのラインナップを見直すのも良いかもしれません(このケースは、客層が2つに分かれているため、お店のイメージを不用意に分散させたり、スタッフのオペレーションに悪い影響が出ることを気にするオーナーさんもいらっしゃるかもしれませんね)。


いずれにしても、ここでの課題発見やプラン検討の例は非常に簡単なもので、本来はもう少し細かな分析・シミュレーションをして案を作るべきです。そうすることでプランがヒットする確率は確実に上がります。顧客情報をさらに細かく確認して、上記のグラフ上にプロットしてアイデアの妥当性をイメージするなど、簡単にできるところから始めれば良いと思います。


また、(質を下げずに)来客数を増やせるのが理想です。このシミュレーションでは回転率が78%ですから、(スタッフの作業負荷を考えても)まだ数字を伸ばせる余地があるでしょう。ただし、回転率を極限まで上げたとしても、席数は有限です。売上を効率良く上げる(or 維持する)には客単価を上げるのが一番です(ちなみにここ最近上昇傾向に合った客単価は2010年8月は猛暑の影響で少し下げました)。


ここでの例ではご紹介できませんが、別の視点ですが、かなり前から、顧客生涯価値(Life Time Value = LTV)・・・要は如何にリピート中心の集客・営業が重視されています。RFM分析が顧客管理との親和性が低いこともあり、顧客のデータをできるだけ細かく拾って、売上と顧客データの相関関係や、時間軸でトラッキングできるようにれば良いでしょう。


こういったことに真剣に着手するためにはまずノウハウが必要と思われがちですが、少しずつ勉強していけば良いと思うのです。わからない場合はわかる人に聞くのが一番です(誰に聞くかは、大きな問題かもしれませんが)。それよりも勉強のための時間を確保する⇒従来の業務時間の構成を変えることの方が多くの場合、より大きな課題のように思えますが・・・(時間の使い方については以前の生産性に関するエントリーにコメントしていますので、そちらも参考になれば幸いです)。

2010年6月19日土曜日

サービス業の生産性は製造業の60%???(その2)

前のエントリーからの続きです。

実際の所、一般的に飲食業の労働生産性は相当に低いと思います。心当たりのあるお店は早めに手を打たないとさらに下がる可能性すらあると考えています(再度、労働生産性の定義をご確認ください・・・こちらの情報の方が具体的かもしれません)。

労働生産性 = 付加価値(売上高)/従業員数

労働生産性を式で表すとこんな感じでイイと思います。右辺の分母が1か月の労働時間であっても、また、分子が利益額、あるいは来客数であっても、分子が分母の大きさに見合った程度にならないと、労働生産性を高く維持することはできない、ことは明白です。

余談ですが・・・
日本フードサービス協会の統計によれば、ディナーレストランに分類される外食業態では2010年4月の売上は前年同月比100%を達成していますが、本当に久方ぶり。5月はGWもありましたし、6~7月はサッカーのワールドカップの影響もあるでしょうから、予算を達成するには具体的な努力が相当必要でしょう。

従業員数を減らす、あるいは従業員の給料を減らす(非正規従業員を雇うことを含む)ことで分母の値を小さくできますが、それでは、前エントリーに書かれた【低い生産性の要因と思われるもの】の2つ目に挙げた「生産性の低い産業においては人件費等を低く抑えるために非正規雇用を多用し、生産性が低い状態から抜け出せない」シナリオにそのままハマってしまうことになります。

もちろん、分母を小さくするための努力はポイントを時には必要ですが、それが何に影響を与えるかを常に意識しなければなりませんし、この負のスパイラルからは抜け出すには分母を小さくするだけでは無理です。並行して、分子を大きくするための取り組みを行うことが重要です。そのための施策として客単価を上げることについてはここでは述べません。ここでの私の主張は無料で使えるツールや情報が多い、IT/Webを活用しての集客/見込み客の醸成にトライすべきだ、ということです。

労働生産性は1つの指標に過ぎないというご意見もあるでしょう。それよりも重要なこともあるでしょう。ですが、日々の売上や来客数といったデータに一喜一憂するだけでは、改善案は見えてこないのではないでしょうか。労働生産性など、お店の経営の状態をジャッジするための指標を取り入れ、お店を経営するにあたっての優先順位と評価基準を明確化して、初めて「今月はまぁまぁ」といった言葉が真実味を帯びるのではないかと思います。お客さんの満足度にしても、「美味しかったよ」と声をかけてくれる人が今日はいた/いなかったの問題ではなく、来店客の何パーセントが満足してくれたのか、といった具体的な数値を意識しなければ、V字回復の手がかりなど見えてくる筈がありません。

「クオリティ・レストランは効率のみを追求するものにあらず。品質や顧客満足を重視すべきで、商売・ビジネスは二の次だ」とおっしゃる経営者もいらっしゃることは理解しています。それを踏まえても、ビジネスの成果(アウトプット)を出すこと、労働生産性を向上させるために、積極的に集客活動をすることに対してもっと力を注いでみてはいかがでしょうか。料理を作る技術とサービスさえ良ければお客が来てくれる・・・なんてことはありません。職人としてのスキルが高いことは前提でしかなく、それに加えてビジネスセンスが感じられないお店にはお客はそっぽを向いているのが実態だと思います。

以下の図は、Google日本法人の名誉会長である村上憲郎氏が「日経ビジネスアソシエ 2010年2/16号」に寄稿した資料を私なりにデフォルメしたものです。


村上氏は「ムダ撲滅の第一歩は完璧に拘らないこと」という趣旨で述べていましたが、完璧に拘りがちなクオリティレストランの生産性向上に向けての有効解の1つではないかと思い、掲載しました。この図では以下のことを記述しているつもりです。
  • 一定時間仕事をしてもそこから得られるビジネス成果は80%が限界であり、そこを起点に100%の成果を得ようとしても、倍の時間をかけてもそのレベルに達成できる保証は無いということ。
  • だとすれば、仕事Aの成果は80%のレベルで提供し、さらに時間をかけようとしていた部分で他の仕事(仕事B)をして、そこで80%の成果を出す方が組織全体のアウトプットとしては大きくなる(160%のアウトプットが得られる)。
思い当たるフシはありませんか?

あくまでも私見であり、自分の過去の経験から思っていることですが、生産性の低い仕事をしていると、自分の周りにいた生産性の高い取引先との距離は拡がってしまうような気がしています(漠然と、ですが)。生産性の問題は決して自分が所属する組織の中だけで閉じた話だけではなく、外部と繋がっているという意識を持って生産性向上に取り組むべきなのかな、と思っています。

重複する内容を何度も書いてしまい、読まれる方はウザイと感じられたかもしれません。その点についてはお詫びを申し上げますが、最後にシツコクもう一言・・・

飲食店の生産性は料理を早く作ることを追求したり、コストを抑制するだけでは向上しません。多くの客に多くの満足を提供しなければ生産性は向上しないのです(生産性の式における右辺の分子を大きくする)。空席が常にあるような状態では労働生産性は低迷したままです。労働生産性を上げるための大きなポイントとして集客が大きな位置を占めるということをご認識ください。

Webマーケティングは正に上図における仕事Bなのです。これに取り組むことで確実に集客と顧客関係を向上させる切り札的な位置づけになり得ます。私もしっかりとサポートさせていただきますのでどうぞお気軽にお問い合わせください!

※このエントリーを書きあげるのには必要以上に時間がかかってしまいました。論理構築能力の不足を感じました・・・。

2010年6月18日金曜日

サービス業の生産性は製造業の60%???

先日、東京経済政策研究会(TSEP)の勉強会に参加させてもらいました。

このテの話に滅法弱い私は多少は予習していきましたが・・・詳しい話はさておき(汗)、話の流れで出てきたネタが気になりました。


-- 日本のサービス産業の生産性は製造業に比べて60%程度しかない --


日本の製造業においてはカイゼンなどに代表されるように、生産性を高めるための取り組みが長い間行われており、実際、世界トップの生産効率を誇っています。サービス業(∊ サービス産業)については、それほど高くないだろうなぁとは思っていましたが、まさかそれほどとは・・・と思い、その元ネタを会の主催者の方から教えていただきました(三四郎さん、ありがとうございました)。
※なお、本エントリーは外部へのリンクが大変多くなっています。そちらを必ず読まれることをお薦めします。


このレポート中には、「我が国のサービス産業の生産性は総じて低く、特に、就業者数が多く集中する業種(建設業、卸売・小売業、飲食・宿泊業、医療・福祉、その他サービス業)の労働生産性は、他の産業に比べて低い。」との記述があります。


【低い生産性の原因と思われるもの】
  1. 生産性の低い産業(ex.飲食業)から高い産業(製造業)へ経営資源が移動しない
  2. 生産性の低い産業においては人件費等を低く抑えるために非正規雇用を多用し、生産性が低い状態から抜け出せない
  3. IT利活用の低さ(★)
  4. 新陳代謝の不足
  5. 競争環境の未整備
  6. 人口密度(需要密度)の問題


さらに、他の関連するネタを探したところ、以下のような統計情報もありました。

これらを読むと、確かに「サービス産業は日本の基幹産業である(GDPの68%!を占める)にも関わらず、製造業よりも労働生産性が低い」と読めます(あくまでも労働生産性に関する比較です)。



必ずしもそうとは言えないとする論もありますが、全要素生産性(TFP)を中心としての話であり、また経産省のデータとは分析の粒度が違っていたり、論者の意図に左右される部分も大きいと思います。



さらに、別の資料からIT利用が生産性に与える影響についても言及されていました。以下の図はその抜粋です。

IT業界に長く身を置いてきた人間として、左記のデータは大いに納得するところです。ただ、このブログは、経済構造の問題を考えることも、サービス産業(もしくはサービス業)全体の生産性向上に対する提言をすることも目的とはしておりません(そんな大それたことはできません)。

いずれにしても、ここまでの情報を読んで、なるほどサービス産業(あるいはサービス業)はやはり生産性が低く、そこが不景気脱出のボトルネックになっていることはよくわかりました。もちろん、飲食店ビジネスはサービス業に属するわけで、これらの情報と私の経験を加味し、あくまでもクオリティ・レストランに関係する方々への何らかの示唆になり得るように、何らかの形でまとめていきたいと思います。

つづく