というのも、AISASは電通が2004年からWeb時代の消費行動モデルとして提唱しているに関わらず、ソーシャルメディアに対応した消費行動モデルとしてSIPSを2011年1月31日に発表したからです。
個人的には既出のAISASって優れたモデルだと思っていたし、SIPSとそれほど大きな差があるとも思えなかったので、これは改めて自分なりの理解を深める必要があるな、と思ったわけです。
ということで、改めてAISASの概要を他サイトからの引用で(笑)。
<引用はじめ>
AISASとは、インターネットを積極的に活用する消費者の購買行動プロセスに関するマーケティング分野の仮説。ある商品を消費者が認知してから購買に至るプロセスを、「Attention(注意)」「Interest(興味)」「Search(検索)」「Action(購買)」「Share(情報共有)」の5フェーズから成り立つとした。電通が提唱し、2005年6月に商標として登録された。
消費者の購買行動プロセスに関する仮説としては、従来「AIDMA(アイドマ)」がマーケティング関係者の間では有名だった。AIDMAは、「Attention(注意)」「Interest(関心)」「Desire(欲求)」「Memory(記憶)」「Action(行動)」という5プロセスを表す。AISASは、AIDMA同様に購買行動プロセスを5段階に分けながらも、インターネットを活用した新しい消費行動プロセスを取り込んだ考え方である。
新しく加わった「Search」は、Yahoo!やGoogleなどの検索サービスの利用が一般化し、商品やサービスに関心を持った消費者が、「まずはネットで調べてみる」行動パターンを指す。最後の「Share」は、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、クチコミ・サイトなどを介して、消費者同士による商品の使用感や感想などの情報交換・共有が日常化してきた状況を表す。どちらも2002年ころから顕在化してきた消費者の行動パターンである。
マーケティングの観点では、プロセスが商品の購買(Action)で終わらず、その後にShare(情報共有)を位置付けたのも象徴的である。実際、消費者のクチコミ情報が別の消費者の購買プロセスに大きな影響を与えるようになっており、広告などの商品提供側からの一方的な働きかけだけでは消費者の購買行動を後押ししにくくなっている。
提唱者である電通がAISASを商標登録したためマス媒体で使用される頻度は低いものの、マーケティング関係者の認知度は高い。また、AISASをきっかけに、購買プロセスを細分化したモデルがマーケティング関係者から数多く提案されている。たとえば、アンヴィコミュニケーションズの望野和美社長が提唱した「AISCEAS(アイセアス)」は、AISASのSとAの間に「Comparison(比較)」と「Examination(検討)」を挿入したもの。
<引用終わり>
※上述に限らず、Attentionを「注意」と説明するケースが多いようですが、どうもしっくりきません。より端的な言い方をすると「気付く」ということになります(電通自身、SIPISの説明では「気付き」という表現をしています)。
AISASで表される消費者の5つの行動を基にマーケティングプランを考える際、まず「何を」を明確にするべきで、最初の一歩であるAttention(気付き)では消費者に対して何を気付かせるのかは特に重要だと感じます。
飲食店にあてはめると
飲食店にあてはめると
- 店の存在に気付いてもらう
- 業態に気付いてもらう
- 良い食材を使っている店であることを気付いてもらう
- ワインの品揃えが良いお店であることに気付いてもらう
ですが、店の存在を伝えたつもりになっていても、受け手は見逃してしまうこともあるし、忘れてしまうこともあります。発信側は伝えたい情報の質と、その情報を載せる媒体の性質を意識する必要があります。
- 静的なメディア
- ホームページ
- ブログ
- グルメサイトなど
- 動的なメディア
- 雑誌・新聞
- TVなど
あなたのTLは、フォローしている人によるのツイート(有象無象の内容)であっという間に埋め尽くされてしまっているはず。それこそ気付かれること無く、消失してしまう情報の宝庫であるとも言えます。このため、お店や企業の公式アカウントでは同じメッセージを定期的に流している場合もあります(その良し悪しは抜きにして)。TVCMなども同じ内容のCMを流し続ける理由は、それによる記憶の定着(摺り込み)なのですから、この摺り込みをどのようにして行うかを飲食店経営者の皆さんも考えるべきだと思います。
このように、消費者にAttention(気付き)を提供するにしても、「何を」だけではなく、5W2Hの全てにおいて考えることでより無理/無駄/ムラの無いマーケティング・プラン、プロモーション・プランを策定することができるのではないでしょうか。もちろん、Attentionだけでなく、Interest、Search、Action、Share全てに渡って、考える必要があるでしょう。
また、こういった正しい見方から定義付けをきちんとしていけば、無理に新しい概念(例えば、SIPSなど)に飛び付かなくとも、AISASがソーシャルメディア上でも有効な消費行動モデルとして機能することが改めて理解できるとも思うのです(だからこそ、電通はSIPSとAISASを共存させているのかも知れません)。
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