飲食業界店様向けにWeb/ITマーケティング・コンサルタントとして活動しています。費用対効果、運用の容易さ、PDCAサイクルの徹底、そしてお店の個性・アドバンテージを重視したコンサルティングが信条です。このブログでは、継続的なお店の維持・発展を目指しているITが苦手な経営者の方が読んで「Webマーケティングってこういうものなんだ。私も挑戦してみるかな」と勇気を出してもらえるような情報を提供していきたいと思っています。
2010年7月28日水曜日
2010年7月27日火曜日
【ワインねた】日本のワイン業界/市場の課題を私なりに整理してみました
※コンセプト作りのトピックは次回、また再開します。
かつてのブルータスでワイン特集の際にはよく日本のワイン文化の歴史が書かれていましたね。
かつてのブルータスでワイン特集の際にはよく日本のワイン文化の歴史が書かれていましたね。
ボージョレ・ブーム、シャブリ・ブーム(?)、田崎さん優勝とスター・ソムリエの登場、ロバート・パーカー・ブーム、ワイン専門雑誌の相次ぐ創刊、自然派ワインブーム、神の雫ブーム・・・色々ありました。これらのブームは日本のワイン市場を刺激し、業者も消費者も一定以上の恩恵を受けてきました。私もワイン好きの1人として、これらの出来事があったからこそ出会えたワイン、出会えた人が少なからずあります。
上記のような日本のワイン市場を刺激した出来事の1つ1つは短期的には効果があったでしょうが、全体を振り返り、今後を睨むとどうでしょうか? 多少、これまでのワイン業界に対して批判的なことを書くことになるでしょうが、愛ゆえということでご容赦願います。
結論から言うと、日本のワイン市場は立体的な拡がり・進化をしていないし、このままではそういう動きは期待できない、と危惧しています。
上の図はこの20数年くらい間に日本でどういうワインが話題になったり、市場定着したのかなどを私なりに時系列で並べてみたものです。漏れているものや余計なものもあるかもしれませんので、異論のある方はご連絡くださいませ。
で、各事象についての感想・考察を自分なりに以下に述べてみます。
丸めて言うと、ワイン市場を成長させるには単に目新しいものを提供するだけじゃダメ。成長の軸として「新製品を市場投入する」だけでは市場自体が不安定で脆弱なままです。下の図はあくまでもイメージですが、今の日本のワイン市場はたぶんこんな形です。
これまでのように特定の成長軸だけに依った市場成長はあり得ません。バランスが悪く、他の成長時期での発展を試みてもそれを支える土台が無いため、容積を増やすことができません。この図では「新しい商品」と「消費者の成長と自律」の両軸で発展しなければ「新たな視点」の軸を発展させていくことができない(土台が無いため)ことがわかります。
これに対し、新たな視点・価値感を消費者に与えたり、消費者のレベルアップを促し、自律性を高めることで消費を構成する要素が多面化し、さらなる成長の基盤となっていくはずです。
ワイン関係業者が速やかに中長期的な市場成長戦略を整備することを期待しています。
結論から言うと、日本のワイン市場は立体的な拡がり・進化をしていないし、このままではそういう動きは期待できない、と危惧しています。
上の図はこの20数年くらい間に日本でどういうワインが話題になったり、市場定着したのかなどを私なりに時系列で並べてみたものです。漏れているものや余計なものもあるかもしれませんので、異論のある方はご連絡くださいませ。
で、各事象についての感想・考察を自分なりに以下に述べてみます。
- 未知のものへの興味が膨らんだ時に、そのカテゴリーのワインの消費が最大化されるが、長続きしない場合が多い。
- ブランド力のある、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュですら、それぞれのカテゴリーについて、消費者に新たな視点を投げかけることがほとんど出来ていない(シャンパーニュについては、大手メゾン製とその対立軸としてのRMの共存に成功した、と言えるかも)。
- ボルドー、ブルゴーニュについては、新たな銘柄・生産者が出てきたとしても、従来からある価値の焼き直し程度。ボルドー右岸のガレージワインも完全に市場を縮小させた。ワインの価値を本質的に向上させたり、別の視点を与えたわけではないのだから・・・ほとんどは、ただトップグループに追従し、無闇に濃いメルローを作っただけ。
- 自然派ワインについては、ガストロノミー向きのそれら(パカレやシャソルネィなど)の市場価値は相当に下落しているはず。もう少し気楽な自然派ワインについては、ビストロやワインバーなどを中心に国を問わず市場定着してきている(自然派ワインの二極化)。これは従来に無かった消費動向と言えるように思う(消費者の多様化がここでは進んだと言えるかも)。
- 各ワイン雑誌のプロモーションが効いたのかどうかは知らないが、これまで以上に日本製ワイン(特に小規模生産者)の注目度が上がっているが、長期的かつ本質的な視点から成長を考えないと「かつて誰かが通ってきた道」を通ることになりそう。
- 全体を通して見ると、日本のワイン消費は「とても移り気な消費者」が「特定のカテゴリーのワインをちょっとつまんではすぐ飽きて(わかったような気になって)、次のカテゴリーのものを求める」ことを繰り返したことでここまで成り立ってきたように見えるが、そのモデルには限界が来ている。少なくとも目先が変わっただけで市場も消費者もそれほど成長していない。
- ワイン原体験としてボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュを経験した人がまだ消費主力であり、他のカテゴリーのワインに目を向けさせようとしても、結局、それらとの比較を通じてしか提案できない流通業者が多いため、結果として消費者を特定のカテゴリーに縛ってしまう。消費者の自由は奪われ、流通業者も自分が掘った穴から出られない(=マイナーエリアのワインが売れ残る)でいるように見える。
- 評価の高いワインは売り易いが、多くのワインが90点前後に集中する現在、個性の違いを訴求しないと消費者にはどれも一緒に見える。
丸めて言うと、ワイン市場を成長させるには単に目新しいものを提供するだけじゃダメ。成長の軸として「新製品を市場投入する」だけでは市場自体が不安定で脆弱なままです。下の図はあくまでもイメージですが、今の日本のワイン市場はたぶんこんな形です。
これまでのように特定の成長軸だけに依った市場成長はあり得ません。バランスが悪く、他の成長時期での発展を試みてもそれを支える土台が無いため、容積を増やすことができません。この図では「新しい商品」と「消費者の成長と自律」の両軸で発展しなければ「新たな視点」の軸を発展させていくことができない(土台が無いため)ことがわかります。
これに対し、新たな視点・価値感を消費者に与えたり、消費者のレベルアップを促し、自律性を高めることで消費を構成する要素が多面化し、さらなる成長の基盤となっていくはずです。
ワイン関係業者が速やかに中長期的な市場成長戦略を整備することを期待しています。
2010年7月26日月曜日
クオリティ・レストランにとってのコンセプトとは(その3)
前回のエントリーから少し間が空いてしまいました。
似たようなことを繰り返し述べることになりますが、マーケティング・ビギナーの方向けということでお許しを。。。
今の日本ではほとんどの市場が成熟、もしくは飽和しています。そのような状況下においては、消費者は消費することの意味・価値をさらに意識するようになっています。クオリティ・レストランという業態では正にその視点が顕著だと言えるでしょう。仮に今の時代に1回の食事に1万円投じるとすれば、消費者の期待値は必然的に高くなります。しかも、クオリティ・レストラン業界では上の世代の人たちが現役バリバリでやっている一方で様々な事情から若くして独立に至る人も多く、競争は確実に激化しています。ゆえに店側は相当な費用対効果や満足を提供しなければ消費者はリピート客になってくれません。口コミによる伝達力がかなりモノを言う市場ですし、ネットとの相関関係は明らかな失点が無くとも期待値に届かなければネット上での評判が芳しくなければ、顧客どころか見込み客も獲得できません。
このことは、クオリティ・レストランを継続的に経営するためには単なるアイデア(思いつき)ではダメ ~ アイデアだけではコンセプトにはなり得ないし、コンセプチュアルなものしか通用しないことを示唆していると思いませんか。
アイデアが、そのほとんどが何をやるか(What)に集中しがちなのに対し、コンセプトは5W2Hをベースに考えられ、また消費者にとっての意味・価値が丁寧に盛り込まれ、店側が提供するものの値段の高低に拘わらず、その背景にある秩序ある何か→ コンセプトが感じられるべきものだからです。それを繰り返し積み重ねることで、その結果として周囲から尊敬されるオリジナリティを纏ったコンセプトに成長していくのです(コンセプトは静的なものではありません)。
とはいえ、アイデアはコンセプト形成の起点としてとても意義あるものですし、優れたアイデアであれば他のアイデアとの競争になっても生き残る強さを持っているものです(本質的な強さが必要)。そして、それを最大限活かすための筋道・秩序としてコンセプトを作り上げる/ブラッシュアップさせる必要があるということです。
【コンセプト作りに必要なスキル】
優れたアイデアを生むためのスキルと優れたコンセプトを作りだすスキルは本質的に異なります。
このシートもあくまでもアイデアをコンセプトに変換する際のフレームワークの一例です。
似たようなことを繰り返し述べることになりますが、マーケティング・ビギナーの方向けということでお許しを。。。
今の日本ではほとんどの市場が成熟、もしくは飽和しています。そのような状況下においては、消費者は消費することの意味・価値をさらに意識するようになっています。クオリティ・レストランという業態では正にその視点が顕著だと言えるでしょう。仮に今の時代に1回の食事に1万円投じるとすれば、消費者の期待値は必然的に高くなります。しかも、クオリティ・レストラン業界では上の世代の人たちが現役バリバリでやっている一方で様々な事情から若くして独立に至る人も多く、競争は確実に激化しています。ゆえに店側は相当な費用対効果や満足を提供しなければ消費者はリピート客になってくれません。口コミによる伝達力がかなりモノを言う市場ですし、ネットとの相関関係は明らかな失点が無くとも期待値に届かなければネット上での評判が芳しくなければ、顧客どころか見込み客も獲得できません。
このことは、クオリティ・レストランを継続的に経営するためには単なるアイデア(思いつき)ではダメ ~ アイデアだけではコンセプトにはなり得ないし、コンセプチュアルなものしか通用しないことを示唆していると思いませんか。
アイデアが、そのほとんどが何をやるか(What)に集中しがちなのに対し、コンセプトは5W2Hをベースに考えられ、また消費者にとっての意味・価値が丁寧に盛り込まれ、店側が提供するものの値段の高低に拘わらず、その背景にある秩序ある何か→ コンセプトが感じられるべきものだからです。それを繰り返し積み重ねることで、その結果として周囲から尊敬されるオリジナリティを纏ったコンセプトに成長していくのです(コンセプトは静的なものではありません)。
とはいえ、アイデアはコンセプト形成の起点としてとても意義あるものですし、優れたアイデアであれば他のアイデアとの競争になっても生き残る強さを持っているものです(本質的な強さが必要)。そして、それを最大限活かすための筋道・秩序としてコンセプトを作り上げる/ブラッシュアップさせる必要があるということです。
【コンセプト作りに必要なスキル】
優れたアイデアを生むためのスキルと優れたコンセプトを作りだすスキルは本質的に異なります。
- アイデア力
- 一般的な意味での発想力
- 議論を拡げる力
- 各方面から情報収集した知識を元に、個人のフィルター・感性を駆使して発想したことを自分の言葉で伝える力
- コンセプト力
- アイデアそのものより、創出されたアイデアを集合知化し、組織的に実現させるの視点の方が重要
- 拡がった意見を収束させる力
- 先読み力
- 周辺視野の広さ
- 一つのことだけに囚われず、その周辺にあるものも含めて認識し、処理する力
- 物事を多面的、立体的に捉える力
- 基礎となるアイデアをスタッフやビジネス・パートナーに100%伝える力。
- 発信された情報はコミュニケーション相手による独自の解釈が入るため、100%の理解は難しいですが、できるだけそれに近づけられるだけのコミュニケーション能力、プレゼン能力
- コンセプト作りを1つのグループワーク/プロジェクトとして考え、全体の進行をマネジメント、リード(マネジメントとリードは違う)する力
単独のプロジェクトとして、独りで考え、独りで全てをやるのであれば「組織」は必要ありませんが、通常、クオリティ・レストランは複数人数で運営されている場合がほとんどです。店のオーナー、シェフ、リーダーといった職責の人たちには各メンバーの専門性やそれぞれのアイデアを活かし、店全体のコンセプトの観点から不整合の無いようにまとめ上げる力が求められているのです。
いきなり、そんな力を持つことは誰にでも簡単にできることではありません。ただ意識するだけでは実効力に繋がりにくいものです。そこで、フレームワークを使ってみることをお薦めしたいと思います。
フレームワークとは考えをまとめるための枠組み、あるいはそれを支援するためのフォームやワークシートを指します。それを見れば、最初に、そしてその次に何をやらなければならないのか、といった手順もわかりますし、どういう背景・考え方に基づいて多数ある意見・アイデアをまとめれば良いのかといった基本的なことを
フレームワークは型にはまった思考を強いるものとして、クオリティ・レストランというクリエイティブな業種には向かないと思われる方もいらっしゃると思いますが、そんなことはありません。
フレームワークを活用できない理由は、理解が十分でない状態(誤解/曲解含む)での使用を強行することによるものが多く、正しく使えば、一定以上の成果を生む確率が上がりますし、コストパフォーマンスもかなり高いというのが実感です。
ここでは、アイデアをコンセプト化する際のフレームワーク(ワークシート)を挙げてみます。このシートは「【実践】コンセプト・メイクの技術」 by 平林千春 from 実務教育出版 に掲載されていたものをほぼそのまま転載いたします。
このシートもあくまでもアイデアをコンセプトに変換する際のフレームワークの一例です。
残念ながら、本の中にこのフレームワークの使い方が書かれていませんので、使い方を簡単に記述しておきます。
【テーマ】
「仏造って魂入れず」という言葉がありますが、ここでの「仏」がテーマ、「魂」がコンセプトになります。クリアすべき課題と言い換えることもできるかもしれません。
例えば、
・20代の若い人にも3か月に1度は本格的な江戸前寿司を食べさせたい
・幅広い年齢層の人に愛される本格的なイタリア料理を提供する
・比内地鶏と名古屋コーチンを備長炭で調理するこだわりの焼き鳥屋
などがテーマの例として挙げられるでしょうか。
【アイデア出し】
スタッフや外部委託業者(例えば内外装、Web制作)が決まっていることが前提ですが、1人のチーム内のブレーンストーミングなどでアイデアを出す場合は相手の意見を否定せず、全てを出し切る(議論の輪を拡げる)ことが第一歩となります。
1回のブレーンストーミングで全てのアイデアが出るとは限りませんが時間は有限ですから、リーダーは「何月何日、こういうテーマでアイデア出しミーティングをやるので事前に考えておいてください。時間は2時間」などと決めておくと良いでしょう。なお、「アイデア出し」に限らず、各フェーズ終了の際にはその旨をメンバー間で周知・共有することも重要です。
例えば、
・20代の若い人にも3か月に1度は本格的な江戸前寿司を食べさせたい
・幅広い年齢層の人に愛される本格的なイタリア料理を提供する
・比内地鶏と名古屋コーチンを備長炭で調理するこだわりの焼き鳥屋
などがテーマの例として挙げられるでしょうか。
【アイデア出し】
スタッフや外部委託業者(例えば内外装、Web制作)が決まっていることが前提ですが、1人のチーム内のブレーンストーミングなどでアイデアを出す場合は相手の意見を否定せず、全てを出し切る(議論の輪を拡げる)ことが第一歩となります。
1回のブレーンストーミングで全てのアイデアが出るとは限りませんが時間は有限ですから、リーダーは「何月何日、こういうテーマでアイデア出しミーティングをやるので事前に考えておいてください。時間は2時間」などと決めておくと良いでしょう。なお、「アイデア出し」に限らず、各フェーズ終了の際にはその旨をメンバー間で周知・共有することも重要です。
【収束するポイント】
テーマに沿ったアイデアを出せるだけ出したら、それをコンセプトに落とし込めるよう収束させる必要があります。この段階でアイデアの善し悪しが選別されるべきです。このとき、
・5W2Hのそれぞれから見た実現性の有無など
・想定されるリスクとそのダメージ、回避方法など
・事業目的との親和性・整合性・・・etc
などが選別の視点として有効だと思います。
【関連するテーマ/対象】
メインテーマをさらに深く絞り込んだもの(サブテーマ)やそれまでに見えていなかった別の視点を記載することで、コンセプトを決定し易くします。例えば、「20代の若い人にも3か月に1度は本格的な江戸前寿司を食べさせたい」というメインテーマに対しては以下のような関連テーマが考えられます。
・ファストフードとしての寿司を高品質に提供
・20代若者のアルコール(ビール、日本酒)離れ防止
・伝統的な和食へのオマージュと新たな気づきを提供
・・・etc
【コンセプトの方向性】
それまでのインプットから方向性を決めます。安易に各アイデアの妥協点を探すことではありません。優れたアイデアを活かし、理想に近づけるための各要素が点では無く、線や面として整合性を持って繋げるための道筋を決めていきます。
【見い出したコンセプト】
字面の通りです。書き記すことで曖昧さを減らし、関係者間での共有を図ります。
【その理由/背景】
これを記載しないとコンセプトが長続きしないし、途中で霧散しそうになったときに振り返ることができません。コンセプトを維持・再生・発展させる上で重要な情報となります。
・5W2Hのそれぞれから見た実現性の有無など
・想定されるリスクとそのダメージ、回避方法など
・事業目的との親和性・整合性・・・etc
などが選別の視点として有効だと思います。
【関連するテーマ/対象】
メインテーマをさらに深く絞り込んだもの(サブテーマ)やそれまでに見えていなかった別の視点を記載することで、コンセプトを決定し易くします。例えば、「20代の若い人にも3か月に1度は本格的な江戸前寿司を食べさせたい」というメインテーマに対しては以下のような関連テーマが考えられます。
・20代若者の外食離れ防止
・20代若者の和食離れ防止・ファストフードとしての寿司を高品質に提供
・20代若者のアルコール(ビール、日本酒)離れ防止
・伝統的な和食へのオマージュと新たな気づきを提供
・・・etc
【コンセプトの方向性】
それまでのインプットから方向性を決めます。安易に各アイデアの妥協点を探すことではありません。優れたアイデアを活かし、理想に近づけるための各要素が点では無く、線や面として整合性を持って繋げるための道筋を決めていきます。
【見い出したコンセプト】
字面の通りです。書き記すことで曖昧さを減らし、関係者間での共有を図ります。
【その理由/背景】
これを記載しないとコンセプトが長続きしないし、途中で霧散しそうになったときに振り返ることができません。コンセプトを維持・再生・発展させる上で重要な情報となります。
※ちょっと焦点がボケているかな~??
2010年7月14日水曜日
クオリティ・レストランにとってのコンセプトとは(その2)
ここで、「何故、クオリティ・レストランにコンセプトが必要なのか?」を明らかにしておきます。
【一貫性(Consistency)と品質確保のため】
クオリティ・レストランにおいては料理に使う食材に始まり、調理もサービスも一定以上のレベルにあることが前提なわけで、内外装やオペレーション全てを含めた一貫性こそが店の品質と個性を形成するとさえ信じています。
以前のエントリーに以下の内容を記載しました。
>・料理:90%
>・内装・雰囲気:70%
>・サービス:80%
>>ここでいうパーセンテージの意味は、ブランドバリューやコンセプトが各要素にどの程度具体的に反映されているか、ということです。上記の例であれば、トータルでは・・・
>>0.9(料理) x 0.7(内装・雰囲気) x 0.8(サービス) = 0.504 = 50.4%
上記の例の50.4%という数値はお店のブランド価値・個性であり、そのお店の品質を示すものだと考えます。この考え方を先に進めると、どこのお店にあるような定番料理であっても、各項目で他店よりも頭一つ以上抜きんでていれば総合的にはそれなりの差になってくることがわかります。以下の店Aと店Bでは各項目では10%ずつの差しかありませんが、総合的(積算後の値)には17%の違いになっています。
「レストランは総合芸術だ」と言う人もいます。それに近い考え方を持っている経営者の方であれば、この考え方は納得されると思います。「ウチはそんな店じゃない」と思っている経営者の方も試してみてください。そして店の一貫性や品質を維持するためにはコンセプトがこれらの各要素に沁み渡っている必要があると認識いただければ幸いです。
【優先順位/意思決定のための基準】
明確で共有されたコンセプトは繁忙期の顧客対応上の優先順位決定や経営上の意志決定時の基準/拠り所になり、業務のスピード向上にも寄与するからです。次に記載している「いちいち上司に確認せずともスタッフが自立して判断し、行動する」ための基準とも言えます。
【スタッフの自立性と現場対応力向上のため】
店のスタッフにコンセプトが確立・共有されていない場合、顧客の満足度を上げ、リピーターになってもらえるチャンスを失ったり、トラブルやイレギュラーバウンドの発生頻度を増やす可能性すらあります。経営者の意図と異なる対応をする場合が多いと、その都度、注意しなければならないなどのオペレーション・ロスも発生します。
この負のスパイラルはコンセプトをしっかりと固め、共有することで回避できるはずです。もちろん、コンセプトに沿った行動ができるようなスタッフを採用・教育することが重要ですが、優秀なスタッフの安定確保にも繋がります。
【ブランド確立(Branding)のため】
コンセプトに基づく一貫性のある経営、内外装、料理、サービス、コミュニケーション、マーケティング活動(Webサイト、ブログ、ソーシャル・メディアの運用含む)などを行うことで店のブランドを確立することができます。なお、言うまでもありませんが、ブランドという言葉はファッションやコスメティックだけの話でも無ければ経営規模の大小も問いません。 ブランド確立は顧客からのロイヤリティを高め、安定した集客と価格設定にも寄与します。
なお、コンセプト作りは新規開店の前に確立できればベストですが、後から作り上げていくことも可能なものです。きっと、漠然としながらも拘って積み上げてきたことがあると思います。そういったことを整理し、コンセプトとは何か、何故それが必要なのかを振り返って、改めてコンセプトをまとめる方向に舵を切っていただきたいと思います。
次のエントリーではコンセプトをどうやって作れば良いのか、そのプロセスを整理してみます。
【一貫性(Consistency)と品質確保のため】
クオリティ・レストランにおいては料理に使う食材に始まり、調理もサービスも一定以上のレベルにあることが前提なわけで、内外装やオペレーション全てを含めた一貫性こそが店の品質と個性を形成するとさえ信じています。
以前のエントリーに以下の内容を記載しました。
>・料理:90%
>・内装・雰囲気:70%
>・サービス:80%
>>ここでいうパーセンテージの意味は、ブランドバリューやコンセプトが各要素にどの程度具体的に反映されているか、ということです。上記の例であれば、トータルでは・・・
>>0.9(料理) x 0.7(内装・雰囲気) x 0.8(サービス) = 0.504 = 50.4%
上記の例の50.4%という数値はお店のブランド価値・個性であり、そのお店の品質を示すものだと考えます。この考え方を先に進めると、どこのお店にあるような定番料理であっても、各項目で他店よりも頭一つ以上抜きんでていれば総合的にはそれなりの差になってくることがわかります。以下の店Aと店Bでは各項目では10%ずつの差しかありませんが、総合的(積算後の値)には17%の違いになっています。
店A | 店B | |
料理 | 80% | 70% |
内装・雰囲気 | 80% | 70% |
サービス | 80% | 70% |
積算後 | 51% | 34% |
「レストランは総合芸術だ」と言う人もいます。それに近い考え方を持っている経営者の方であれば、この考え方は納得されると思います。「ウチはそんな店じゃない」と思っている経営者の方も試してみてください。そして店の一貫性や品質を維持するためにはコンセプトがこれらの各要素に沁み渡っている必要があると認識いただければ幸いです。
【優先順位/意思決定のための基準】
明確で共有されたコンセプトは繁忙期の顧客対応上の優先順位決定や経営上の意志決定時の基準/拠り所になり、業務のスピード向上にも寄与するからです。次に記載している「いちいち上司に確認せずともスタッフが自立して判断し、行動する」ための基準とも言えます。
【スタッフの自立性と現場対応力向上のため】
店のスタッフにコンセプトが確立・共有されていない場合、顧客の満足度を上げ、リピーターになってもらえるチャンスを失ったり、トラブルやイレギュラーバウンドの発生頻度を増やす可能性すらあります。経営者の意図と異なる対応をする場合が多いと、その都度、注意しなければならないなどのオペレーション・ロスも発生します。
この負のスパイラルはコンセプトをしっかりと固め、共有することで回避できるはずです。もちろん、コンセプトに沿った行動ができるようなスタッフを採用・教育することが重要ですが、優秀なスタッフの安定確保にも繋がります。
【ブランド確立(Branding)のため】
コンセプトに基づく一貫性のある経営、内外装、料理、サービス、コミュニケーション、マーケティング活動(Webサイト、ブログ、ソーシャル・メディアの運用含む)などを行うことで店のブランドを確立することができます。なお、言うまでもありませんが、ブランドという言葉はファッションやコスメティックだけの話でも無ければ経営規模の大小も問いません。 ブランド確立は顧客からのロイヤリティを高め、安定した集客と価格設定にも寄与します。
なお、コンセプト作りは新規開店の前に確立できればベストですが、後から作り上げていくことも可能なものです。きっと、漠然としながらも拘って積み上げてきたことがあると思います。そういったことを整理し、コンセプトとは何か、何故それが必要なのかを振り返って、改めてコンセプトをまとめる方向に舵を切っていただきたいと思います。
次のエントリーではコンセプトをどうやって作れば良いのか、そのプロセスを整理してみます。
2010年7月12日月曜日
クオリティ・レストランにとってのコンセプトとは
考えてみれば、「クオリティ・レストランにはすべからくコンセプトが必要だ!」、ということを伝えるためのこのエントリーがまずコンセプチュアルである必要がありますね(汗)。
5W2Hで考えると、まず最初にWhat(何を)から話していくのが正しい手順だと思います。ということで「コンセプトとは何か?」を出来る限り、シンプルに述べてみようと思います。ただし、「コンセプト」は多くの側面を持っており、一言で表現するとかえって誤解を生む元となるため、丁寧さも失わないよう気をつけていきます。
【コンセプチュアルであることの前提】
企業やお店が、自身と関係する人/企業などと繋がるための根本価値や意味を、共有可能な状態になっていること。
低成長時代で、しかも多くの市場が成熟・飽和した現在においては、多くの場合、消費者側が消費の主導権を持っており、ニーズ中心/消費者目線に立ったビジネス(マーケット・イン型)の方が成り立ち易いと言われていますが本当でしょうか?
消費者目線という言葉自体もなかなか難しいものです。世の中のトレンドを表面的に捉えただけの提案(例えば、低価格路線への安易なシフトなど)は確かに短期的には価値ある場合もありますが、中長期的に見ると、時代性との不整合を感じたり、そもそも論に導かれてしまう場合もあると思いませんか。
私が考える消費者目線というのは、消費者やトレンドに安易にすり寄ったり追従することではなく、物の本質を捉えた上で時代性を反映した商品・サービスを提案することです。
泡モノワインで例を挙げてみます。
シャンパーニュというお酒は随分と高価なものになってしまいました。プレスティージ・クラスは言うに及ばず、ちょっと拘ったレコルタン・マニピュランのスタンダードクラスのものでも都内のワインバーでグラスで飲むと1杯1,600~2,000円くらいするのではないかと思います。1回の外食費用が仮に8,000円だとすると、その1/5~1/4をグラス・シャンパーニュが占めるというのは今の消費者には厳しい場合が増えたように思います。
そこで、より安価なスパークリングを代品として採用する案が浮上してくるわけですが、そのシフトに際しても、ただ安いから、という理由で採用するならNG。極端な言い方をすれば、「シャンパーニュの代品」という考え方自体が後ろ向きです。
例えば、ステファン・ティソのクレマン・デュ・ジュラというスパークリングがあります。
ワインのプロやブランド指向が強くないワイン好きの人にとってはシャンパーニュの代品という位置づけではなく、ジュラという土地をパワフルかつ洗練した形で表現した個性の強い地酒として認知され始めています。単なる新商品として提案されただけでなく、「シャンパーニュ以外にも高い品質の発泡酒はある」という気づきを消費者に提供し、伝統的な地場品種を使い、オリジナリティと革新性を加えたことで発泡酒に新たな価値観を加えるところまで踏み込んでいます。このように高品質の発泡ワインは、発泡酒=シャンパーニュと考えている従来客の視野を拡げ、高価ゆえシャンパーニュに手が出なかった(見込み)客を開拓する可能性すら持っていると考えます(あくまでも可能性ですが)。
このようなティソのクレマンの本質を理解し、それを消費者に漏れなく伝えることができる店とそうでない店・・・
同じ商品を同じ値段で提供する場合、どちらの店が消費者目線であるか、は誰の目からも明らかではないでしょうか。消費者目線には、消費者が価値を感じるであろうモノ・コトを察し、先んじて提供するという視点だけでは不足で、気づきや新たな価値感・視点を提供する視点が必要です。
この場合、ティソのクレマンを扱う業者やお店が、内外の関係者(消費者含む)に対して、ただ「美味しい」や「安い」だけでなく、消費者目線を持って、美味しさの在り様、商品の背景、根源価値がより共有し易い形に形態化できれば、よりコンセプチュアルな商品として市場に認知される可能性はより高まります。
自動車のカタログスペックに相当するようなデータは、このワインについてもそこそこ公開・共有されているものの、味わいや香りといった主観的な要素を相互理解するための共通のコミュニケーション基盤がそもそも確立しておらず、その観点から共通認識を持つようになるにはまだまだ時間も努力が必要でしょう。しかし、表現手段と伝達経路は明らかに進化・拡張してきているので、前向きに試行錯誤を重ねていくべきでしょう。
伝えるべきアイデア・理念を持ち、消費者目線をもって関係者(消費者含む)と共有できるよう形態化し、店内でそれを周知・徹底した結果、商品・サービスとして提供されることが、クオリティ・レストランをコンセプチュアルに運営するための前提条件だと述べておきます。
To Be Continued
【コンセプチュアルであることの前提】
企業やお店が、自身と関係する人/企業などと繋がるための根本価値や意味を、共有可能な状態になっていること。
低成長時代で、しかも多くの市場が成熟・飽和した現在においては、多くの場合、消費者側が消費の主導権を持っており、ニーズ中心/消費者目線に立ったビジネス(マーケット・イン型)の方が成り立ち易いと言われていますが本当でしょうか?
消費者目線という言葉自体もなかなか難しいものです。世の中のトレンドを表面的に捉えただけの提案(例えば、低価格路線への安易なシフトなど)は確かに短期的には価値ある場合もありますが、中長期的に見ると、時代性との不整合を感じたり、そもそも論に導かれてしまう場合もあると思いませんか。
私が考える消費者目線というのは、消費者やトレンドに安易にすり寄ったり追従することではなく、物の本質を捉えた上で時代性を反映した商品・サービスを提案することです。
泡モノワインで例を挙げてみます。
シャンパーニュというお酒は随分と高価なものになってしまいました。プレスティージ・クラスは言うに及ばず、ちょっと拘ったレコルタン・マニピュランのスタンダードクラスのものでも都内のワインバーでグラスで飲むと1杯1,600~2,000円くらいするのではないかと思います。1回の外食費用が仮に8,000円だとすると、その1/5~1/4をグラス・シャンパーニュが占めるというのは今の消費者には厳しい場合が増えたように思います。
そこで、より安価なスパークリングを代品として採用する案が浮上してくるわけですが、そのシフトに際しても、ただ安いから、という理由で採用するならNG。極端な言い方をすれば、「シャンパーニュの代品」という考え方自体が後ろ向きです。
例えば、ステファン・ティソのクレマン・デュ・ジュラというスパークリングがあります。
ワインのプロやブランド指向が強くないワイン好きの人にとってはシャンパーニュの代品という位置づけではなく、ジュラという土地をパワフルかつ洗練した形で表現した個性の強い地酒として認知され始めています。単なる新商品として提案されただけでなく、「シャンパーニュ以外にも高い品質の発泡酒はある」という気づきを消費者に提供し、伝統的な地場品種を使い、オリジナリティと革新性を加えたことで発泡酒に新たな価値観を加えるところまで踏み込んでいます。このように高品質の発泡ワインは、発泡酒=シャンパーニュと考えている従来客の視野を拡げ、高価ゆえシャンパーニュに手が出なかった(見込み)客を開拓する可能性すら持っていると考えます(あくまでも可能性ですが)。
このようなティソのクレマンの本質を理解し、それを消費者に漏れなく伝えることができる店とそうでない店・・・
同じ商品を同じ値段で提供する場合、どちらの店が消費者目線であるか、は誰の目からも明らかではないでしょうか。消費者目線には、消費者が価値を感じるであろうモノ・コトを察し、先んじて提供するという視点だけでは不足で、気づきや新たな価値感・視点を提供する視点が必要です。
この場合、ティソのクレマンを扱う業者やお店が、内外の関係者(消費者含む)に対して、ただ「美味しい」や「安い」だけでなく、消費者目線を持って、美味しさの在り様、商品の背景、根源価値がより共有し易い形に形態化できれば、よりコンセプチュアルな商品として市場に認知される可能性はより高まります。
自動車のカタログスペックに相当するようなデータは、このワインについてもそこそこ公開・共有されているものの、味わいや香りといった主観的な要素を相互理解するための共通のコミュニケーション基盤がそもそも確立しておらず、その観点から共通認識を持つようになるにはまだまだ時間も努力が必要でしょう。しかし、表現手段と伝達経路は明らかに進化・拡張してきているので、前向きに試行錯誤を重ねていくべきでしょう。
伝えるべきアイデア・理念を持ち、消費者目線をもって関係者(消費者含む)と共有できるよう形態化し、店内でそれを周知・徹底した結果、商品・サービスとして提供されることが、クオリティ・レストランをコンセプチュアルに運営するための前提条件だと述べておきます。
To Be Continued
2010年7月3日土曜日
【ネタまとめ中】クオリティ・レストランのコンセプトを解析する(その1)
コンセプトって便利な言葉だし、安易に使われることが多い言葉です。
少なくともコンセプトは思い付きではないし、業態やスタイルを定義することでも無い。コンセプト、特に強いコンセプトを設計するには、理論と論理の両方が無ければできないことです。
ということで、今回の連載ネタは「コンセプト」です。何回かに分けて例を挙げながら、突っ込んだ解析例を提示できるように頑張りますので、乞うご期待!?
- コンセプトがしっかりしていれば柔軟に対応できる
- コンセプトと優先順位に沿った日々のオペレーションが重要
さて、そもそもコンセプトとは何なのか?
色んなサイト/コンサルさんが紹介されており、私も参考にさせてもらっています(笑)。でも、私がカバーする「クオリティ・レストラン」というフィールドに使えそうな説明は・・・残念ながら断片的なものがほとんどです。はっきり言うと「ロジックが弱く、突っ込みどころが多い。」「お店の企画/経営において、コンセプトが必要/極めて重要であることの理由になっていない」といった場合が多いのです。
少なくともコンセプトは思い付きではないし、業態やスタイルを定義することでも無い。コンセプト、特に強いコンセプトを設計するには、理論と論理の両方が無ければできないことです。
ということで、今回の連載ネタは「コンセプト」です。何回かに分けて例を挙げながら、突っ込んだ解析例を提示できるように頑張りますので、乞うご期待!?
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