昨日、日テレのニュースで女性の36%が外食回数を減らしているというトピックがありました。
ウチご飯やお弁当などのキーワードが飛び交っている様から見ると、確かに減っているだろうなぁという気がします。ただし、36%という数字は私の感覚には馴染みが悪く思えます。
一方でぐるなびがぐるなび総研という会社でリサーチビジネスをやっています。
こちらの「外食費(夏)」というレポートを読むと、「この夏(7~8月)の外食費は「増える」が「減る」を上回り、増加傾向」という論調。また「景況感」というレポートには「景気は回復傾向だが、厳しい業績続く」というサマリーが。
- 外食産業の現状をどの言葉が正しく言い表しているのでしょうか?
- 特にクオリティ・レストランの市況はどうなのでしょう?
まず、これらの統計データ、調査データ自体の信ぴょう性は疑ってみても良いのではないでしょうか。
最初の36%減の話は東京ガスの調査データであるという事実に目を向けなければなりません。
昼食を外で食べる回数が1回減っても、10回減っても「外食回数が減った」という一言でまとめることもできます。でも、外食産業に与える影響が1回減と10回減のどちらが大きいかは明らか。つまるところ、必ずしも女性による外食産業の総利用量が36%縮小したわけではないということです。
東京ガスの場合、ガスをたくさん使ってもらいたい、あるいは使用量が増えているということを何らかの形でアピールしたい筈で、女性の外食が減っている⇒家庭でのガスの使用量が増えている⇒「安価な熱源の都市ガスはこんな時代に最適ですよ!」と暗に言いたいだけ(要は恣意的なデータである)と言うと斜視し過ぎでしょうか(?)。
一方で、ぐるなび総研のレポート。
まず、「外食費(夏)」という調査データはあくまでも2010年7月16~20日に採取したデータである(予想データである)ということです。「外食産業を盛り上げよう」、「誰もが苦しむ夏もお客は外食をする気があるのだから頑張ろう」という意図の元、公開されたデータなのでしょう。要は「飲食店さん、ぐるなびのサービスを利用してください」という意図が汲み取ることが出来ます。
もう一つのレポート「景況感」については、あくまでもぐるなび加盟店を対象にした調査です。その中で
- 売上:増加の傾向22%(昨年8月比+5%)
- 利益:増加の傾向19%(昨年8月比+6%)
- より良質なメニュー:好調店33%(不調店22%)
- 料理の値下げ:不調店26%(好調店7%)
と言っているだけに過ぎないわけです。このデータも「ぐるなびを利用している飲食店さんはこんなに調子良いですよ、皆さん、利用しませんか?」というメッセージなのではないでしょうか。
元々、TVに出た36%という数字の大きさに反応して調べ始めたわけですが、さて、この3つのレポートを総合すると要は「外食産業は依然として厳しい状況下にある」ということが言えますが、女性云々という部分を明らかにするにはもうちょっとデータが欲しいですよね。そこで探したところ、やはりぐるなびのレポートでありました。2008 - 2009年のデータですが「第2回レポート「属性別分析」」が。
これを見ると・・・
- 女性の昼食での外食機会も減り、多くの世代で支払額も減少している。
- 女性の「ゆっくりの夕食」の頻度も減り、多くの世代で支払額も減少している。
- 女性はプライベートの外食機会を大切にする
- 高所得層は外食の機会を多く持つ(以前と比べて減っているかどうかは不明)。
ということが読み取れます。
このように見てくると、ここ1年くらい流行っている「女子会」もかなり絞られた機会であることが判りますね。飲食店は以前よりも小さくなったパイを取り合っているということです。
とすると、自分のお店がターゲットにするべき客はこのままで良いのか再考する必要があるかもしれませんね。例えば、以下のデータを見ると、自分で料理をする機会の少ない20代男性の独り客はお酒の消費量は少ないもののひとりでのふだんの外食を大事なものと考えているようですから、地域性やお店のスタッフとの世代差などを考慮して、そういうニーズを満たす施策を実行するのも良いかもしれません。
要は「魚群(ターゲット=お客)は動いている(はず)」ということ、そして「動いているのは位置・規模共に」ということですね。自分が持っている釣り道具(=施策)や漁場を変えないと狙った獲物を釣ることはできませんし、獲物自体も変える方が良い場合もあります。内部にあるデータ、上記のような外部データをうまく読み取っていく必要があるわけです。