2010年10月20日水曜日

【ワインねた】ラングドック、頑張れ!

一時、低~中価格帯ワインの雄としてもてはやされたラングドックのワインですが、最近ではショップからのメルマガに掲載されるケースがすっかり減ったように思います。

個人的には色々と思い入れがあるエリアなので、少しでも話題にしたいと思い、本エントリーで取り上げてみます。



ペルピニャン周辺はルーション地区

上記地図で色の付いているところがラングドックです。

ラングドックは比較的新しいアペラシオンだと認識されがちですが、新しいなんてものではありません。2007年にACラングドックが設立され、それまで別地域であったルーションを包含するようになったばかりだし、グランクリュやグランヴァンといった規定が作られることが決定したばかりの、今、正に様々なことが活発に動いている、最注目エリアと言えなくもないのです。

美術出版社のワイナート 44号のタイアップ記事「ラングドックの可能性を信じて」には、ラングドックの持つ課題がコンパクトに述べられています。ここに書かれていることをまとめると

  1. グランジュ・ド・ペールのようなクオリティ・リーダーは居ても所詮はVDPであり、ラングドックという産地の代表では無く、一定のイメージの共有がなされていない
  2. エリアが広域であり、土壌特性が多岐に渡る
  3. INAOがシラーの使用を強制しており、本来、適地ではない場所にまでブレンドを義務付けられている
の3つに集約されるでしょう。これら3つは互いに密接に関与しながら浮き上がった要因であり、さらに細分化する必要は無いと考えます。逆に大きくまとめるならば、AOCという考え方はその地域の特徴と品質を規定するものであり、これらが定まっていなかったために生まれた課題と言えると思います(しかし、歴史的・民族的な背景やら何やらでまとめるのは難しかったのでしょうね)。

加えるなら、日本の昨今の自然派ブームと潮流が異なる点も不利に働いているでしょう。ビオディナミなどの栽培法に因らず、ナチュラルに抽出されたワインが好まれている現在、これまでは濃さに軸足を置いた品種・ワインが中心になっていたラングドックは辛い立ち位置です。

また、偉大なワインは確かにクオリティ・リーダーそのものですが、特殊な例であるということです。
例えば、ジェフリー・デイヴィスが流通させたシャトー・ド・ラ・ネグリーとその関連のワインなどはパーカーも非常に高く評価しましたが、日本では一時期20,000円近い値段にまで上がってしまい、余程酔狂な人しか飲むに至りませんでした。ゴビィのムンタダも然り、です(いずれも美味しいのですけれど)。

ラングドック全体の製品ポートフォリオを考えると、その価値をCPの良いワインを大量供給できる点に集約し過ぎるのはどうかとは思います。しかし、それぞれのテロワールを十分に反映する品種と醸造技術を採用して作られたヴォリューム・ゾーンのワインが正しくプロモーションされることが日本でのラングドック再認識に繋がるような気がします。

Pic Saint Loupの山

※古木のカリニャン、Pic Saint Loupのシラーには活路ありと見ていますが、さて・・・?

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