2010年11月30日火曜日

優先順位を決定する~その方法(その5)

ここ最近、バタバタしていて一連の優先順位ネタをまだ終えられていませんが、何とか11月中に全てポストし終えたいので、頑張ります。本エントリーは以下の4.について述べます。
  1. 今季目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?
  2. 販売とマーケティング、どちらが重要?
  3. レームユーザーとリピートユーザー、どちらが重要?
  4. 店のオーナーからのコスト削減指示と常連顧客からのトリュフや珍しいジビエを使ったスペシャルな料理を作って欲しいという依頼・・・どちらを優先するか?
常連客の方からのはっきりとした要望や、たまのワガママは歓迎。普段仕入れないような高級食材を使った料理を馴染み客から作ってもらいたいと言われれば、何とか応えてあげたいというのが人情。しかし、その仕入にはリスクを伴いますし手間もかかる・・・オーナーからコスト削減を指示されていれば、気楽に請け負うことを躊躇する方もいるかもしれません。


カギは上記の設問を論理的に精査・分解することにあります。
この場合ですと、
  1. オーナー or 常連客 どちらを重視・優先するか? 
  2. 「コスト削減」と「高価な食材を仕入れるリスク」は比較するべきことでは無く、異質で別の問題だということ
    • 高価な食材を仕入れても、ちゃんと売ればコスト増にはならない(=回避策をきちんと考え、講じる)
の二つに分解することができると思います。
1.はシンプルな結論を要求していますが、実は2.は1.の問題に対して出した結論に対する理由・背景になり得るものであることに気付きます。


1.を単独の問題として捉える場合、二者択一ですからある意味シンプルです。しかし、判断に至る論理をしっかりと組み立てる必要はあります。前回のエントリーで紹介した緊急度と重要度のクロス分析を使って考えてみてはいかがでしょうか。


お客が目の前に居るサービスの現場ではお客への対応が最も緊急性の高いことは言うまでもありませんが、重要性は状況によって変わります。例えば、常連客がモンスター化してしまいワガママを押し通そうとし過ぎる場合には、店のコンセプトに従い、できることはできる、できないことはできない、と毅然と意志表示すべきです。そうでない場合は、少なくともお客と100%対峙してしまうような状況は回避すべきでしょう(サービス業なのですから)。いずれにしても、1.の解を得るにはもう少し情報が必要な気がします。


2.はどうでしょう? ちゃんと仕入れ値と量を業者と調整し、お客からいただくべきお代をいただけるならコストの問題は発生しないのでオーナーもハッピー、もちろんお客様の満足も得ることが出来ますよね。仮に少し失敗したとしても、具体的な集客策・リスク回避策を事前にオーナーと共有できていれば、オーナーからの評価は「ナイス・チャレンジ」になると思いませんか? お店の経営状態などからネガティヴに考えてしまう場合もあるかも知れませんが、店の目標やコンセプトを確認し、冷静に考えることでクリアできるはずです。


設問・課題を十分に理解したり、1.だけを考えるだけでは適切な解を得られないところでしたが、2.に気付き、課題のクリアに向けて前向きに考えれば、1.の解を得ることにも繋がるだけでなく本エントリーの設問全体への解を得られますし、「お客を満足させることでオーナー(そして自分)の満足も同時に得ることが出来る」ということもわかります。

こんなの大した話では無いと捉える方もいるでしょう。しかし、物事の優先順位を決める元となる価値基準や論理構築力を身に付けることは何らかの商業活動をする人の永遠の課題であり、かつ店の個性とクオリティを向上させる原動力の一つだと考えています。


※案外、ロジックがはちゃめちゃな料理人の方、多いと思いませんか・・・?

2010年11月25日木曜日

優先順位を決定する~その方法(その4)


今回は以下の3.について述べてみます。
  1. 今季目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?
  2. 販売とマーケティング、どちらが重要?
  3. クレームユーザーとリピートユーザー、どちらが重要?
  4. 店のオーナーからのコスト削減指示と常連顧客からのトリュフや珍しいジビエを使ったスペシャルな料理を作って欲しいという依頼・・・どちらを優先するか?
ただし、一意に「これが一番重要なのだ!」と割り切れるものではありません。最後まで読んでいただくことで、自分のお店がお客とどのように接していくべきかを再考するきっかけになればと思っています。


さて本論です。
仕事の優先順位を決定する方法論として、重要度と緊急度の2つの視点からのクロス分析があります。具体的には以下のようなマトリクスを使います。


緊急度
高い 低い
重要度 高い (A) (B)
低い (C) (D)
  • 重要度も緊急度も高い - (A)
    • 問題と危機の両方がある
      • クレーム客への対応は正にこれ。
    • 営業時間中のお客様へのサービスもここに当てはまる
    • ただし、ここに当てはまる仕事に集中し過ぎると、それに振り回されてしまう
  • 重要度は高いが緊急度は高くない - (B)
    • お店の経営に例えれば、遠くない未来を左右すること
      • コンセプトの見直し、スタッフの教育、各種PDCAの定着など
      • 何かと先送りにされがちで、結果が出るまでに時間がかかることが多い
    • 問題の根本に関わる活動であることが多い
    • ここに時間を投資することで問題発生を未然に防ぎ、大きな成果を得ることが出来る
  • 重要度は低いが緊急度は高い - (C)
    • 電話対応や届いたメールへの返信などをイメージすると良い
    • とりあえず対応しなければならないが、重要度は内容確認後に判断
  • 重要度も緊急度も低い - (D)
    • やる必要の無い作業であり、かける時間を早急に最小化すべき
一般的に(A)の仕事は言葉は悪いですが「お尻に火が点いている状態」なので、何とかその場を凌ぎ切るものです。(C)も軽いものであることが多いので、何とかクリアできてしまうものです。


問題は(B)です。(A)や(C)にかまけて(B)をやらないでいると、気が付いたときには大きな問題を抱えてしまうことがあるので注意が必要です。
(D)に執心し、必要以上の時間を割くスタッフ(もしくはオーナー)は論外です。


ということで、(B)への取り組みが非常に重要であることを前提として、話を進めていきます。


一般的に客に重み付けをする方法としてRFM分析があります。
  • Recency(最終来店日)
  • Frequency(来店頻度
  • Monetary(累積購買金額)
この3つの指標毎にお客をセグメント分けするものです。以下はそれぞれの指標を5段階で分けたサンプルです。

Recency


(最終来店日)
Frequency


(来店頻度)
Monetary


(累積購買金額)
Level 5 最終来店日が
30日以内
1か月毎 10万円以上
4 最終来店日が
31~90日以内
3か月毎 5~10万円未満
3 91~180日以内 半年毎 3~5万円未満
2 181日~1年以内 年に1度 1~3万円未満
1 1年以上前 それ以上 1万円未満


例えば、R=5, F=5, M=5に分類されるお客様はお店にとって優良客と呼べるかもしれませんが、R=1,F=1,M=5はどうでしょう? R=1,F=1,M=1はお客と呼ぶこともできないかもしれません。


このようにお店との関係をRFMという指標からお客を分類し、それぞれに見合ったアクションを起こす手法・考え方が普及しています。具体的にアクションとは以下のようなことを指すでしょう。
  • 集客施策(時候のDMやメルマガ送付を含む
  • 予約受付
  • 現場でのサービス
  • ソーシャルメディアその他でのコミュニケーション
  • 御礼/お詫び・・・など
これらのアクションを通して、お客との関係を深化させ、LTV(顧客生涯価値)や売上を最大化させるのがこの分析の主旨なり目的です。

しかし、こちらの記事にもありますように、RFM分析は「個」客に着目した分析では無く、定めた条件でお客をランク分けをしただけのものと言えます。逆に、ランク分けの条件に適合しなくとも、ちょっとした働きかけで優良客となる可能性のあるお客が居る場合もありますので、必ずしもRFMといった指標に拘らず自店の特性に合った指標でお客を分類し、最適なアプローチを目指せば良いのです。


しかし、そもそも、顧客管理がかなり高いレベルで行われないとRFM分析はできません。どうにか分析できたとしても、その結果が活かすこと(=各顧客セグメント毎への有効なサービス提供の検討・実施に至らない)は困難です。今さらながら、顧客管理がきちんと為されているかどうかが非常に重要なのです。


もう少しこの点を掘り下げてみましょう。


※クリックで拡大できます
上図はAIDMAAISASを説明する際によく使われる漏斗(ファネル)で表現される購買に至るまでの心理状態の遷移や集客モデルを飲食店(や実店舗型商店)でのそれに合うように独自にモディファイしたものです(そんなエラそうなものでも無いですが・・・)。


従来、AIDMAやAISASの理論の中では、PRやコミュニケーションの目的は「購買を促すこと」だったと思います。確かにそれは短期的な目的として間違っていませんが、マーケティングの定義を「中長期的に売れる仕組みを作ること」と考えている私は「常連客の増加による集客・売上の安定化」を目的とした図にしてみたわけです。


最初のゴールは未訪客を来店に導くことです。ですが、「常連客の増加による集客・売上の安定化」をセカンド・ゴール(もしくは最終ゴール)とするならば、初めて来店してくれたからといってただ喜んではいられません。言うまでも無いことですが、実際に来店いただいた時間はFace to Faceでコミュニケーションできて、精一杯のサービスができる最良の集客プロセスの現場です。予約時、もしくは来店時に、来ていただいたお客様の顧客情報などを取得するタイミングもここしかありません。

しかし、繰り返しになりますが、多くの個人経営店では顧客情報の収集・管理・活用が十分に出来ていません。一般的には新規客の獲得が難しいと言われていますが、この顧客情報の管理の不備により、リピート客獲得の方が難しいのではないか(もしくは店によってはリピートのためのサービスをする気が無いのではないか)とさえ思う場合があります。

このような状態になっている原因は、顧客管理が本エントリーの一番上の表中の(B)の象限(重要度は高いが、緊急度は低い)に当てはめているからではないでしょうか。

顧客管理ができていないということは、新規客/リピート客/常連/クレーム客に関わらず、実は「個」客を軽視し、サービスの重要性や価値を認識できていない可能性が高いと思われます。これらの分類はどれが重要かを判断するためのものでは無く、「個」客が上記のプロセス上、どの位置に居るかを判断し、プロセスに応じて最適なサービスを提供することで次の来店を促すためのものと考えるべきです。その考え方に基づけば、クレーム客に対して、その場しのぎの対応をするのはタブーなことは言うまでもありません。

    2010年11月12日金曜日

    優先順位を決定する~その方法(その3)

    このエントリーでは、以下の「2. 販売とマーケティング、どちらが重要?」について述べます。
    1. 今季目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?
    2. 販売とマーケティング、どちらが重要?
    3. クレームユーザーとリピートユーザー、どちらが重要?
    4. 店のオーナーからのコスト削減指示と常連顧客からのトリュフや珍しいジビエを使ったスペシャルな料理を作って欲しいという依頼・・・どちらを優先するか?
    飲食店ではマーケティングという概念自体があまり一般的では無いため、マーケティングというものを改めて整理してみます。

    新作料理が定番化するプロセスはPDCAサイクルそのものだと思いませんか?
    1. 新作メニューを考える(Plan)
    2. 実際に作って、お客に販売する(Do)
    3. 食べてもらったお客の評判に耳を傾ける(Check)
    4. マイナーチェンジ(改善)を繰り返す(Act→Plan→Do→Check)
    5. お客の評価が向上し、注文が増え、最終的に定番メニューとして定着する
    マーケティングを「売れる仕組み作り」と考えれば、PDCAを実行し、定番メニューを作る(=売れる商品を作る)ことはこの定番化プロセスは正にマーケティングの賜物と言えます。

    で、販売は上記のとおり、2のDoの部分ですね。つまり、販売はマーケティングの一部であると考えられるわけです。こう言うと、一般企業の営業の人は「営業が売らなければ金入ってこないんだから会社は俺たちが支えているんだよ!」と怒られたりするのですけれど(笑)。実際の所、運転資金が潤沢でないことの多い、個人経営の飲食店では、この販売プロセスが無ければPDCAサイクルもマーケティングも成立しないので、販売は非常に重要であることは間違いありません。

    これだけでもマーケティングは十分に広い領域をカバーしているわけですが、これはモノを売るプロセス面からの捉え方であるに過ぎませんし、「売れる仕組み作り」と定義として完結してしまうには問題があります。様々な書見から、以下の3項目を満たすものがマーケティングの定義として適していると考えます。
    • 顧客を起点にした売れる仕組み作り
    • 研究、開発、製造、人事、財務、営業などの経営を構成する各機能をコントロール
    • 経営者の理念や経営の目的を表現する手段
    ITを含め、マーケティングを図で表すと以下のような感じかと。

    ※何かの本を元に私がアップデートしたものです
    プロセスとしての販売・マーケティングではなく、機能としての位置付けも加味するとマーケティングは非常に広い領域をカバーしているということです。上図の研究、開発、製造、人事・・・といった各機能はマーケティングという概念に基づき、相互に関連しながら並行して実行することで組織が経営目標を達成に近づくことが出来るようになります(各機能がシリアルにしか動かないとすれば、組織を構成する意味がありませんよね)


    例えば、ある高額商品を売るために必要なスキルセットを確認し人材を確保するのは人事の仕事ですが、そのベースに「売れる仕組み作り」に必要な人材確保、と捉える必要がありますし、財務・会計においても安定的にモノを売るバックボーンとして、毎月の運転資金の確保や支払いサイトなどを調整しなければならない、ということです。

    尤も、個人経営の飲食店では研究、開発、製造、人事・・・の全て役割ををオーナーや店長がこなさねばならないわけで、工数を考えると、必ずしも全ての機能・役割が同時進行するとも限らないのが難しいところです。


    これらを踏まえて、結論です。


    販売とマーケティング、どちらが重要? という質問に対しては、組織内でマーケティングのなんたるかがきちんと理解されており、その上で、ということであれば販売の方に注力して良い筈。マーケティングを単なる広告とかりサーチといった程度にしか理解していない場合は、まずはマーケティングに対する正しい理解が重要。


    優等生的な回答としては「どっちも重要」だけど、影響範囲の広さ・深さ、経営のベースにあるべきもの、という観点から見ればマーケティングの重要さは明らかでしょう。

    2010年11月9日火曜日

    優先順位を決定する~その方法(その2)

    前回のエントリーの質問、色々お考えいただけましたでしょうか?
    1. 今季目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?
    2. 販売とマーケティング、どちらが重要?
    3. クレームユーザーとリピートユーザー、どちらが重要?
    4. 店のオーナーからのコスト削減指示と常連顧客からのトリュフや珍しいジビエを使ったスペシャルな料理を作って欲しいという依頼・・・どちらを優先するか?
    繰り返しになりますが、これらの質問に対して完璧な解答はありません。
    ぎゅっと凝縮させると、これらの問いに対しては全て一つの回答で事足りるはずというのが私の考えですが、それでは余りに概論過ぎるので、一つ一つ述べていきたいと思います。


    このエントリーでは、1.今期目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?について、記載していきます。
    • 目的と目標は違う
      • 目的
        • 経営の礎となるもので、「何のために行動するのか」を定めるものであり、変化の割合は比較的小さい(ex.収入を得るため、社会への貢献、自分の修行経験やアイデアを思う存分発揮する場を持つため、など)
      • 目標
        • 目的に沿って行動することによって、どのような結果を得るか(ex.収入をどの程度得るか、売上をどの程度伸ばすか、来店客の何割が満足してくれているか、など)
        • 指標と数値によって表現されることがほとんど(また、出来る限り表現されるべき)
        • 目標はその達成の程度や市況などによって変化する
    • 価値は目的と目標を元に生まれる成果である、と捉える
      • 目的に沿って行動し、目標を達成すること(お客、市場からの認知・理解・支持の程度を含む)によって得られるもの
      • 目的・価値・目標は相互に関連する(上図の緑の矢印)
        • 目標を達成することで、価値が増大し、場合によっては後に経営の目的自体にも加わえられる場合もある
    繰り返しになりますが、目的は経営の礎であり、それによって店のコンセプトにも影響してきます。私がコンサルティングさせていただく際には、開業目的や事業計画を重視しており、それらに矛盾があると感じた場合には、そこからまとめさせていただき、最初のソリューションを提案させていただくようにしています。

    これらを踏まえて、今期目標と中長期目標の関係を考えてみます。
    • 今期目標の一本の延長線上(同一ベクトル上)に中長期目標があるのか?
      • 同じベクトルにあれば理想的だが、経営に与える外的要因(機会・脅威)は常に変化し、早急な追加対応を迫られる場合が多い(特に最近)ため、放っておくとズレる
        • 例えば、2010年夏であれば野菜の流通不足とそれによる卸値の高騰、食べログやブログなどのソーシャルネット上で発生する悪評への対応など
          • 昨今の日中関係・尖閣問題を引き合いに出すと、戦略的互恵関係の確立がここで言う所の中長期目標に当たる
          • そのベクトルからずれないような直近の尖閣問題の解決をもくろんだが、火消しを(結果的に)場当たり的に行ってしまったため、マスコミ対応や世論形成など、中長期目標達成には、より複雑な障害( or ズレ)が生じてしまった
        • このような悪しき例を踏襲しないように当面の対応~今期目標~中長期目標の整合性は定期的に確認し、ズレを修正する必要がある
      • 今期目標達成への取り組みと中長期目標達成への取り組みは並行して実行されるべき場合が多い
        • 今期の目標をクリアして、その次に中長期目標への取り組みにかかる、といった順序性が必要なものはそれほど多くない
        • 例えば、ネットを使った集客施策は結果がすぐに出ないケースも多く、経過を見ながら通年で継続的に改善・対応していくべきものである
        • 顧客生涯価値(LTV)という考え方・指標が注目されている。一人のお客様が中長期で何回リピートしてくれるか、お客としっかりとした関係を築けるか、などの重要性が増している
          • 短期での投資回収を目指す姿勢は必要だが、長く経営を続けることを前提に収益設計するビジネスモデルに移ってきている(長く続けること自体が目的化しつつある)
        • 一方で、潤沢な運転資金のある飲食店は多くは無く、今期の売上・利益を着実に確保することが店の存続や継続的に経営目的を果たしていくことに直結する
    では、本件に関する私の結論/提案です。

    • 経営目的や経営計画の質が一定水準に達していなければ、早急にこれらをまとめ、関係者間で共有しておくことが一番重要
    • これらが一定水準に達しているなら今期目標に対しては70%前後のウエイトで、中長期目標に対しては30%前後くらいの配分並行して進めていく
    • ただし、中長期目標達成に向けてのアクションの進捗状況と、今期目標の実行状況と中長期目標との整合性を定期的(月ごと、四半期ごと)に確認するべき
      • 今期目標達成のために(あるいは致命傷を負わないために)、実行する施策が場当たり的・スポット的なものでは無駄なコストになる可能性があるため。
    ある意味、これらはありきたりな正論ですが、他により有効な考え方があると感じたことがありませんし、実行できているケースも非常に少ないのが実状です。腹を決めて実行するなら、その取り組みが継続できなければ意味がありません。力のあるコンサルタントであれば、そのためのノウハウを持っているはずですので、コストの折り合いが付くのであれば活用を考えると良いかもしれません。

    2010年11月3日水曜日

    優先順位を決定する~その方法(その1)

    飲食店で働いている人でも、スキルが高いほど、手と頭が独立して動いている ~ 同時に複数の仕事が出来ているように思います。

    例えば、お店のシェフであれば、
    • 今、手でフライパンでポワレしている
    • 同時に頭で次の段取りを考えている
    • そして、部下の動きにも目を配り、必要に応じて叱咤し、指示を出す

    ※写真はあくまでもイメージです
    こんな感じですね。
    あれは、慣れという言葉だけで表現するのは不適切で、スポーツや楽器演奏と同じようにトレーニング・修行、そしてそうすることへの明確な動機付けがあってこそなせる業です。そして、脳の複数の箇所(右脳/左脳/前頭葉など)が同時に動作するような形になっているからに違いありません。

    頭で考えることが中心のデスクワークではそうは行きません。
    • 複数のプロジェクトに参加したり、性質の異なる仕事(例えば、日々の店舗運営に加え、レシピ本の出版準備をするなど)を同時に抱えることと、ある瞬間に脳の内部で複数のことを「考える」ことは別の話である。
    • そもそも、人間の脳は、2つのタスクならば同時に処理できるが、3つ以上のタスクに取り組むのは能力を超える(という研究がある)。
    • 複数のプロジェクトに参加する、という観点で捉えてみても、プロジェクトAのこととプロジェクトBのことを完全に同時に進行させるのは不可能で、結局、脳はそれぞれのために「切り替え」が必要となる
    これらは思い当たるフシが誰しもあるのではないでしょうか。

    上記を前提にお店の経営上、複数のToDo(やるべきこと)を上手い具合に進行させるために、優先順位をどのように決めるべきかを考えてみたいと思います。多分、何回かに分割することになると思いますが)。

    さて、質問です。
    1. 今季目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?
    2. 販売とマーケティング、どちらが重要?
    3. クレームユーザーとリピートユーザー、どちらが重要?
    4. 店のオーナーからのコスト削減指示と常連顧客からのトリュフや珍しいジビエを使ったスペシャルな料理を作って欲しいという依頼・・・どちらを優先するか?
    どの質問も絶対的に正しい答えがあるわけではありません。
    今の知識、考え方を元に一度ご自身でまとめていただければ結構です。

    次のエントリーでこれらの答え(?)というか、私なりの考え方(お薦めしたい考え方)を述べさせていただきますので、乞うご期待!?

    しっかり考えておいてくださいね。