- 今季目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?
- 販売とマーケティング、どちらが重要?
- クレームユーザーとリピートユーザー、どちらが重要?
- 店のオーナーからのコスト削減指示と常連顧客からのトリュフや珍しいジビエを使ったスペシャルな料理を作って欲しいという依頼・・・どちらを優先するか?
ぎゅっと凝縮させると、これらの問いに対しては全て一つの回答で事足りるはずというのが私の考えですが、それでは余りに概論過ぎるので、一つ一つ述べていきたいと思います。
このエントリーでは、1.今期目標と中長期目標のどちらの実行を優先しますか?について、記載していきます。
- 目的と目標は違う
- 目的
- 経営の礎となるもので、「何のために行動するのか」を定めるものであり、変化の割合は比較的小さい(ex.収入を得るため、社会への貢献、自分の修行経験やアイデアを思う存分発揮する場を持つため、など)
- 目標
- 目的に沿って行動することによって、どのような結果を得るか(ex.収入をどの程度得るか、売上をどの程度伸ばすか、来店客の何割が満足してくれているか、など)
- 指標と数値によって表現されることがほとんど(また、出来る限り表現されるべき)
- 目標はその達成の程度や市況などによって変化する
- 価値は目的と目標を元に生まれる成果である、と捉える
- 目的に沿って行動し、目標を達成すること(お客、市場からの認知・理解・支持の程度を含む)によって得られるもの
- 目的・価値・目標は相互に関連する(上図の緑の矢印)
- 目標を達成することで、価値が増大し、場合によっては後に経営の目的自体にも加わえられる場合もある
繰り返しになりますが、目的は経営の礎であり、それによって店のコンセプトにも影響してきます。私がコンサルティングさせていただく際には、開業目的や事業計画を重視しており、それらに矛盾があると感じた場合には、そこからまとめさせていただき、最初のソリューションを提案させていただくようにしています。
これらを踏まえて、今期目標と中長期目標の関係を考えてみます。
- 今期目標の一本の延長線上(同一ベクトル上)に中長期目標があるのか?
- 同じベクトルにあれば理想的だが、経営に与える外的要因(機会・脅威)は常に変化し、早急な追加対応を迫られる場合が多い(特に最近)ため、放っておくとズレる
- 例えば、2010年夏であれば野菜の流通不足とそれによる卸値の高騰、食べログやブログなどのソーシャルネット上で発生する悪評への対応など
- 昨今の日中関係・尖閣問題を引き合いに出すと、戦略的互恵関係の確立がここで言う所の中長期目標に当たる
- そのベクトルからずれないような直近の尖閣問題の解決をもくろんだが、火消しを(結果的に)場当たり的に行ってしまったため、マスコミ対応や世論形成など、中長期目標達成には、より複雑な障害( or ズレ)が生じてしまった
- このような悪しき例を踏襲しないように当面の対応~今期目標~中長期目標の整合性は定期的に確認し、ズレを修正する必要がある
- 今期目標達成への取り組みと中長期目標達成への取り組みは並行して実行されるべき場合が多い
- 今期の目標をクリアして、その次に中長期目標への取り組みにかかる、といった順序性が必要なものはそれほど多くない
- 例えば、ネットを使った集客施策は結果がすぐに出ないケースも多く、経過を見ながら通年で継続的に改善・対応していくべきものである
- 顧客生涯価値(LTV)という考え方・指標が注目されている。一人のお客様が中長期で何回リピートしてくれるか、お客としっかりとした関係を築けるか、などの重要性が増している
- 短期での投資回収を目指す姿勢は必要だが、長く経営を続けることを前提に収益設計するビジネスモデルに移ってきている(長く続けること自体が目的化しつつある)
- 一方で、潤沢な運転資金のある飲食店は多くは無く、今期の売上・利益を着実に確保することが店の存続や継続的に経営目的を果たしていくことに直結する
- 経営目的や経営計画の質が一定水準に達していなければ、早急にこれらをまとめ、関係者間で共有しておくことが一番重要
- これらが一定水準に達しているなら、今期目標に対しては70%前後のウエイトで、中長期目標に対しては30%前後くらいの配分で並行して進めていく
- ただし、中長期目標達成に向けてのアクションの進捗状況と、今期目標の実行状況と中長期目標との整合性を定期的(月ごと、四半期ごと)に確認するべき
- 今期目標達成のために(あるいは致命傷を負わないために)、実行する施策が場当たり的・スポット的なものでは無駄なコストになる可能性があるため。
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