2011年2月28日月曜日

見込み客づくりのベースがコミュニケーション力なのだとしたら

中途半端な状態のままですが、ひとまず公開しておきます。

飲食店さんって、他の業種と違って、見込み客と接する機会が極端に少ないですよね(ここで言う、「接する」は双方向のコミュニケーションを指します。)

料理雑誌その他、メディアに紹介されることは一時的に集客効果を得られる場合もあるでしょうが、あまりにも不特定多数の人に向けての情報の一方通行ですから、見込み客を知る/作る/育てるといった観点とは離れたものであると言えるのではないでしょうか。

見込み客を知る/作る/育てるための骨格は、人とのコミュニケーションのはずですから、情報発信だけでなく、コミュニケーション相手の発する言葉を聞き、理解する能力が問われます。この点において、Webとリアルの違いはありません。

よく、Twitterの140文字しか投稿することが出来ないことのデメリットが取り沙汰されます。確かに、投稿内容に色々な背景が含まれている場合があり、それを読み取るのは関連するTLを全て読んでも、必ずしも理解できるものではありません。でも、それはTwitterに限りませんよね?

どんなに仲が良い友人でも、いつもと異なる話題になると、変に意見がぶつかったりする場合もあるはずです。そんなときは、
  • 相手の人が発した言葉の背景や全体像を、想像力豊かに、かつ大きく捉えることができるか
  • 相手の発した言葉の意味・意図が全てがわからなくても、また自分の意見と正反対の考えを持っていることが判った場合でも、お互いの信頼関係に悪い影響を与えないような会話の進め方ができるかどうか
にかかっていると言えるのかな、と思うこの頃です。
それを「ゆる~い繋がり」と言ってしまうなら、その通りでしょうし、「要は会話のテクニックってこと?」と少し斜に構えた捉え方をする人もいるでしょう。「このような繋がり方は求めていない、お互いに顔面パンチの応酬になってもそれこそが人と人のコミュニケーションの在り方だ」と言う人もいるかも知れません。それならそれで良いと思います。

ただし、見込み客づくりのベースとしてのコミュニケーションにはテクニックも必要のはずですし、自分が周りの人とどのように繋がりたいのか、できるだけ明確なイメージを持っている必要があるのではないか、とは言えるのではないでしょうか。目的やコミュニケーションの在り方を曖昧なままにしていると、成り行きで炎上に巻き込まれたり、思ったような効果を得られないのだろうな・・・と。

以上、多分に自戒を含んでおります(笑)。

2011年2月15日火曜日

B型なのでお許しください・・・

Agile Media Networkという会社をご存知でしょうか?

飲食店関係者の方にはあまり馴染みがありませんが、ソーシャルメディアを使ったプロモーションやその効果測定などのサービスを提供している、その筋では大変有名な会社です。

その会社がソーシャルメディア活用企業トップ50を独自に調査し、公開しています(レポート要旨はコチラ)。

※あくまでも「独自に」というトコロがミソです。ある程度の知識があれば、同じ結果が得られるかどうかは抜きにして、似たようなデータを得ることはできます(多分、私にもできる!)。

大変、興味深いレポートですので、ご一読いただけると色んな示唆が得られるかもしれません。

さて、このレポートを読んで、私の頭の中で色々なことが駆け巡りました。それを手短にまとめてみました。

言うまでも無く、BtoCにはソーシャルメディア活用はマッチするのは間違いない(Top50に入っている企業のほとんどがBtoC企業)のですが、その費用対効果はまだまだ練れていない(大きな効果を得ようとすれば、それなりの投資が必要、ということが認知されていないことも含めて)。

しかし、こういったBtoC企業と個人経営のクオリティ・レストランとの違いは明らかに規模と業態。売りっ放しで良いビジネスでは無いですし、席数が多くても40くらいの飲食店では、いくら口コミが爆発しても、それによって得られる効果の限界はすぐに来てしまいます。

予約の取り方を工夫したり、ディナーで2回転するよう来店時間をお客に(良い意味で)強いることができるようになれば、それはそれでアリでしょうが、そのような状況になるとお客の店に対する期待度は最大限に膨らみます。もし、スタッフが流動的で、安定的なパフォーマンスが出せないのであれば、却って満足度を落とし、悪い口コミが拡がる元になりかねません。満席は売り切れと同義です。良くもあり、悪くもある。

席数と客席稼働率を考慮し、いつ、どれくらいのお客に来てもらいたいかを考慮した上での集客施策、及びソーシャルメディア活用とその予算確保が重要なのだと思います。

以上、元ネタからはかなり飛躍した結論になってしまいました。。。

2011年2月13日日曜日

見込み客(その2)~質と量、両面からの確保

前回のエントリーの続きです。
以前使った、集客プロセス の図をアップデートしたものを使って説明を試みます。

見込み客の量的・質的確保(クリックで拡大表示)


伝えたいことは大体、上図の中に書いています。

初期見込み客が1,000人居たとしても、最終的に5人しか来てくれなければ0.5%の来店率になりますね。これに基づくと、今月、50人の新規客に来てもらうためには、10,000人の初期見込み客を持たないといけないということです。

ポスティングやチラシ配布、ショップカードといった従来の方法だけなら10,000人の初期見込み客を確保するのは非常に手間のかかる話です。しかも、前回のエントリーに書いたとおり、一方通行的な情報発信だけならば、そもそも見込み客にすらなっていない可能性もある。しかも、継続的な集客アプローチ、コミュニケーションができるわけでもない(同じ内容のチラシばかりポスティングされるとうんざりしますよね? せめてメニューが変わった時点で告知する程度に留めてくれよ、と思いませんか?)。

これらに対して、インターネットを使った見込み客確保に関する優位性は誰の目から見ても明らかです。例えば、Twitterである一定の条件で絞り込んだアカウントに対してまとめてアプローチすることもできるし、お互いが何者であるかがわかった後であれば、より深いコミュニケーションもできる。正に質と量、両面からの集客アプローチができるのです。

一方でポスティングやチラシ配りが全く意味の無いものだとは申しません。
チラシ配りはお互いの顔が見えた状態ですし、しかもうまく行けばその場で直接コミュニケーションまでできる。ポスティングだって、店の近くに住む未訪客の方々に向けて情報提供するというのは、インターネットを使ったとしてもそう簡単にできることではありません(というよりほぼ不可能・・・少なくとも私はそれを可能とするアイデアを持っていません)。

ただ、これらの確率的にはどうなんだろう? チラシ配りにしたって「よろしくお願いします」と笑顔で渡そうとしても、受け取ってもらえなければ凹むでしょう。失敗は成功の元だとしても、成功に至るまで、できるだけ効率良く進みたいと考えるのが普通ではないでしょうか?

インターネットが万能だとは考えていません。自分のお店にどのようなお客に来て欲しいのか、どれくらい来て欲しいのか、そういったことを明確に意識し、それに合わせた最適な方法での集客アプローチをお勧めする、ということです。

販促費垂れ流しのまま集客がうまく行かなければ店の経営もジリ貧になっていきます。クオリティ・レストラン関係者の皆様には是非ともその辺を再考いただきたいところです。

2011年2月12日土曜日

見込み客

あなたのお店にはどれだけの見込み客がいますか?

このような質問をしたときに、何か根拠を持ってお答えいただけたことは一度もありません(だから私のような職業が成り立つとも言えるのでしょうが・・・)。

失礼ながら、飲食店オーナーの皆さんとお話をさせていただくと「見込み客を作る」という考え方が欠けていると感じることが多々あります。

そもそも、「見込み客を作る」とはどういうことでしょう?
  • 雑誌に掲載・紹介されること
  • 道に看板を出すこと
  • 街頭に出て、チラシやショップカードを渡すこと
  • DMを出す(時候の挨拶など)
  • ホームページを作ること
  • ブログを書くこと
  • ツイッター、Facebookをやること
上記のどれもがそうであると言えなくもない・・・ですが、何か釈然しないですよね?

雑誌で紹介されてもどんな人が実際に見て、興味を持ってくれたのかわからない(予約や来店してくれたときに「先日のhanakoに出ていた料理が食べたい」とでも言ってくれればわかりますが・・・)。道に看板を出したところで誰がその看板に気付いてくれているのかわからない。

看板に意味が無いと言っているのではありません。そういった種蒔きは必要なことですが、それらが集客に対してどの程度の効果を発揮しているのか、何らかの仕掛けをしないとわかりませんよね。それに、そもそも見込み客とはどういう状態にあるお客のことを言うのか?、という問題もあります。

ここで一つの結論を先に。
見込み客は大きく二種類に分類できると言えます。「見えている」か「見えていない」か、の二種類です。

【例1】
例えば、雑誌に掲載された記事を観て興味を持った人がどんな人なのか、普通は全くわかりませんよね。ところが雑誌の平均的な読者層や発行部数が理解できていれば、本当にざっくりとですが、掲載すべき雑誌なのかどうかの判断ができるはず。

自店の客層が20代後半のOLなのであれば、「家庭画報」や「専門料理」で紹介されたところで効果はどれほども見込めない・・・見込み客になり得ないのだから掲載に時間と手間をかけるくらいなら、他に集客効果に繋がりそうなことに注力する・・・と私なら判断しますが、どうですか? 

おぼろげでも良いから見込み客(や来て欲しいお客)が見えていて、情報を掲載するメディアとのズレ加減が理解できる場合にのみ可能な判断だということで挙げました。

【例2】
ホームページやブログをただ開設・運営しているだけだと、読者がどういう人なのか全く見えてきません。それらへのアクセス状況を解析することで、また少し訪問者の顔が見えてきます。

例えば、サイトへの訪問者がどのような検索キーワードで訪問してきたかは非常に重要です。よく知られていることですが、店の名前で検索した人は少なくとも店のことを知っていて、より深く知りたいと思う気持ちが検索という行動に表れていると判断できますよね。こういう人は間違いなく見込み客であると言えます。

このような人にどういう情報を提供すれば来店に繋がるのか、自分で仮説(ストーリー)を作り、そのストーリーがうまく機能するかどうかを検証することで集客力は格段に上がってくるはずです。

【例3】
例2の場合、サイトを訪問した個人を特定することはできませんが、TwitterやFacebook、mixiを使えば本名はわからずとも個人を特定することができます(明らかに「見える」)。また、双方向のコミュニケーションができ、その過程で店への訪問欲求を刺激することも、直接、来店を促すこともできるのですから使わない手はありません。

いずれにしても、手法・媒体を問わず、直接コミュニケーションでき、少しでも興味を持ってもらえたらな、その人はあなたの見込み客で明言して良いと言えます。

上記の3つの例は非常にざっくりと段階に分けて表したものです。
実際には見込み客から実際の来店客になるまでには非常に細かな段階があり、誰がどの段階にいるのかを具に観察し、そのステータスに応じて、どのような集客施策を行うかを選択・実行できればベストです。

「見えている」か「見えていない」か・・・ちょっとワケのわからない表現をしましたが、何が見えていれば良いのか・・・このエントリーが気付きになれば幸いです。具体的にどうすれば良いか、ご相談の際にはコチラへ。

2011年2月11日金曜日

料理が美味ければ客は呼べる?

飲食店をリピート訪問する動機の一位は「料理が美味しい」ことなのは明白です。

料理人の方が己の調理の技術を磨き続けるのは、自己満足的な部分もあるでしょうが、お客様の満足を与えるための最も大きな要因が「料理が美味しい」ことであり、かつそれがビジネスとしての成功への最短距離でもあることを感じている、あるいは知っているからでしょう。

それでも、リピート訪問理由の一位が「料理が美味しい」ことであるとしても、それだけを拠り所にして良い筈がありません。端的に言えば、料理さえ美味ければ良いなどということは絶対にありえません。クオリティ・レストランは食を中心とした、総合的なエンターティメントのための場であり、空腹を満たすための場では無いのですから。


私がお手伝いした飲食店さんのオーナーさんの中にも「結局のところ、リピートの決め手は料理ですよ」とおっしゃる方がいらっしゃいました。ですが、これは誤った考え方だと断言します


「料理の美味しさ」は店を選ぶときの指標の一つに過ぎません。確かに最重要指標ではあるものの、他にも重視されている指標はあります。上記のリンク先を見ると・・・

  • お店の雰囲気
  • 料理が安い
  • お店全体がキレイ
  • 料理のメニューが豊富

・・・etc

色々ありますよね。
ランキングのトップに「料理が美味しい」が位置づけられており、「お店の雰囲気が良い」よりも上位にあることから、「料理が美味しい方がお店の雰囲気が良い店よりもリピートし易い」と勝手に都合良く読み取ってしまいがちではないでしょうか?

料理がいくら美味しくても、お店に清潔感が無ければお客は寄りついてくれないでしょう。「私と仕事、どちらが大切?」に代表されるような究極の二択のようなものとは程遠いということです。

また、客がそういう究極の二択に近い状態になることもそれほど多くは無い筈です(そこまで飲食に思い入れたっぷりな人は多く無いですよ・・・)。例えば、

  • 店A
    • 料理:そこそこで安い
    • サービス:上等
    • お酒:いまいち
    • 場所:職場から近い
  • 店B
    • 料理:上等で値段は普通
    • サービス:いまいち
    • お酒:そこそこ
    • 場所:職場からちょっと遠い(帰り道の途中というわけでもない)

こういう状態で、店AとB、どちらかを選ばなければならないとき、どちらの店が選ばれるかを言いきれる人なんて居ないでしょう?

クオリティ・レストランにとって料理の美味しさは生命線です。人間の身体に例えれば心臓でしょう。でも、心臓だけ守っていても、肝臓が悪くなれば様々な症状が表れますし、時には短期間で死に至る病にもなります。

集客を釣りに例えれば、美味しい料理を作る技術や心地良いサービスの技術は、竿や餌を準備している段階に過ぎず、餌を蒔いてもいないし、釣り糸を垂れてもいない状態であるということを早急に認識していただきたいと思う次第です。


今まで通りのことをやっていれば客が呼べる時代はとっくに終わっています。それ以上のことをやっているお店は既にやっているのですから・・・。