実際の所、一般的に飲食業の労働生産性は相当に低いと思います。心当たりのあるお店は早めに手を打たないとさらに下がる可能性すらあると考えています(再度、労働生産性の定義をご確認ください・・・こちらの情報の方が具体的かもしれません)。
労働生産性 = 付加価値(売上高)/従業員数
労働生産性を式で表すとこんな感じでイイと思います。右辺の分母が1か月の労働時間であっても、また、分子が利益額、あるいは来客数であっても、分子が分母の大きさに見合った程度にならないと、労働生産性を高く維持することはできない、ことは明白です。
余談ですが・・・
日本フードサービス協会の統計によれば、ディナーレストランに分類される外食業態では2010年4月の売上は前年同月比100%を達成していますが、本当に久方ぶり。5月はGWもありましたし、6~7月はサッカーのワールドカップの影響もあるでしょうから、予算を達成するには具体的な努力が相当必要でしょう。
従業員数を減らす、あるいは従業員の給料を減らす(非正規従業員を雇うことを含む)ことで分母の値を小さくできますが、それでは、前エントリーに書かれた【低い生産性の要因と思われるもの】の2つ目に挙げた「生産性の低い産業においては人件費等を低く抑えるために非正規雇用を多用し、生産性が低い状態から抜け出せない」シナリオにそのままハマってしまうことになります。
もちろん、分母を小さくするための努力はポイントを時には必要ですが、それが何に影響を与えるかを常に意識しなければなりませんし、この負のスパイラルからは抜け出すには分母を小さくするだけでは無理です。並行して、分子を大きくするための取り組みを行うことが重要です。そのための施策として客単価を上げることについてはここでは述べません。ここでの私の主張は無料で使えるツールや情報が多い、IT/Webを活用しての集客/見込み客の醸成にトライすべきだ、ということです。
労働生産性は1つの指標に過ぎないというご意見もあるでしょう。それよりも重要なこともあるでしょう。ですが、日々の売上や来客数といったデータに一喜一憂するだけでは、改善案は見えてこないのではないでしょうか。労働生産性など、お店の経営の状態をジャッジするための指標を取り入れ、お店を経営するにあたっての優先順位と評価基準を明確化して、初めて「今月はまぁまぁ」といった言葉が真実味を帯びるのではないかと思います。お客さんの満足度にしても、「美味しかったよ」と声をかけてくれる人が今日はいた/いなかったの問題ではなく、来店客の何パーセントが満足してくれたのか、といった具体的な数値を意識しなければ、V字回復の手がかりなど見えてくる筈がありません。
「クオリティ・レストランは効率のみを追求するものにあらず。品質や顧客満足を重視すべきで、商売・ビジネスは二の次だ」とおっしゃる経営者もいらっしゃることは理解しています。それを踏まえても、ビジネスの成果(アウトプット)を出すこと、労働生産性を向上させるために、積極的に集客活動をすることに対してもっと力を注いでみてはいかがでしょうか。料理を作る技術とサービスさえ良ければお客が来てくれる・・・なんてことはありません。職人としてのスキルが高いことは前提でしかなく、それに加えてビジネスセンスが感じられないお店にはお客はそっぽを向いているのが実態だと思います。
以下の図は、Google日本法人の名誉会長である村上憲郎氏が「日経ビジネスアソシエ 2010年2/16号」に寄稿した資料を私なりにデフォルメしたものです。
村上氏は「ムダ撲滅の第一歩は完璧に拘らないこと」という趣旨で述べていましたが、完璧に拘りがちなクオリティレストランの生産性向上に向けての有効解の1つではないかと思い、掲載しました。この図では以下のことを記述しているつもりです。
- 一定時間仕事をしてもそこから得られるビジネス成果は80%が限界であり、そこを起点に100%の成果を得ようとしても、倍の時間をかけてもそのレベルに達成できる保証は無いということ。
- だとすれば、仕事Aの成果は80%のレベルで提供し、さらに時間をかけようとしていた部分で他の仕事(仕事B)をして、そこで80%の成果を出す方が組織全体のアウトプットとしては大きくなる(160%のアウトプットが得られる)。
あくまでも私見であり、自分の過去の経験から思っていることですが、生産性の低い仕事をしていると、自分の周りにいた生産性の高い取引先との距離は拡がってしまうような気がしています(漠然と、ですが)。生産性の問題は決して自分が所属する組織の中だけで閉じた話だけではなく、外部と繋がっているという意識を持って生産性向上に取り組むべきなのかな、と思っています。
重複する内容を何度も書いてしまい、読まれる方はウザイと感じられたかもしれません。その点についてはお詫びを申し上げますが、最後にシツコクもう一言・・・
飲食店の生産性は料理を早く作ることを追求したり、コストを抑制するだけでは向上しません。多くの客に多くの満足を提供しなければ生産性は向上しないのです(生産性の式における右辺の分子を大きくする)。空席が常にあるような状態では労働生産性は低迷したままです。労働生産性を上げるための大きなポイントとして集客が大きな位置を占めるということをご認識ください。
Webマーケティングは正に上図における仕事Bなのです。これに取り組むことで確実に集客と顧客関係を向上させる切り札的な位置づけになり得ます。私もしっかりとサポートさせていただきますのでどうぞお気軽にお問い合わせください!
※このエントリーを書きあげるのには必要以上に時間がかかってしまいました。論理構築能力の不足を感じました・・・。
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