2010年5月27日木曜日

レストランにとっての見込み客(その1)

これまでのエントリーでAISASという消費行動モデルでレストランのWebマーケティングを粗く考えてきました(その1その2)。こういったモデルに当てはめて深く考えることでWebマーケティング施策が見えてくると思うのですが、一方で別の視点(あるいは視点の追加)も必要なのではないか・・・。

ということで、このテーマを始めてみました。

体制や時間の問題から、個人経営のレストランの方々は営業活動をほとんど行えず、その代わりに情報誌/専門雑誌、そしてネットを営業活動なりマーケティング活動のフィールドとして期待しているわけですが、「見込み客」をどのように定義・判断し、この人たちをどのように来店に導くべきなのでしょうか?

例えば、お店のホームページやブログを訪問してきた人の動機を探るとします。検索エンジンでお店の名前をキーワードにして検索してきた人は、そのお店に対して一定以上の興味を持っている人だと考えて良いはずです。これはアクセス解析をすればすぐにわかることです。

では、この人たちを明確に見込み客であると言えるでしょうか?

以前のエントリーにも書きましたが、レストラン(ホテル、ゴルフ場なども同様)は実際に現場に来てもらって初めて売上が立つものです。昨今、レストラン業界で問題になるドタキャンを思えば、予約が入ったからといって安穏とはしていられませんし、むしろ、全く初めての方からの予約は嬉しいような不安も感じるような・・・というお店もあるかもしれません。

ということは、本当に見込み客かどうかを見極め、フィルター(篩い)をかけながら見込み客、ひいては本当のお客になるまで育てるプロセスを確立する必要があるということでしょう。そんなことは簡単だ、とは言えませんが、それが生み出す結果のみならず、その過程で得られる様々なメリットを想像すれば、トライする価値は十分にあると思います。

かなりのヴォリュームになることが想定されますので、AISASの話と組み合わせながら、このプロセスを少しずつ考えていきたいと思います。

アクセス解析の続きを書こうとしたらFREEビジネスの話にまで伸びてしまった(汗)

アクセス解析に関する前回のエントリーは意図して浅い話に留めたのですが、続きを書くきっかけを失っておりました・・・。ということでHPのアクセス解析にまつわる話を再開します。

100サイト以上のレストランのHPあるいはブログのソースを見てわかったのですが、アクセス解析のためのトラッキングコードすら埋め込んでいないサイトの方が大半・・・というよりは圧倒的に多いようです。

サーバー上にあるアクセスログを参照・解析するというトラディショナルな方法もあります。しかし、そういうスキルを持ったスタッフが個人経営のレストラン(いや、上場企業が経営するレストランにおいてすら)居るかと言われれば、「No」というお店がほとんどでしょう。解析を外部委託するにしても、アクセス解析に対する誤解やかかるコストなどから導入を見送っているところも多いと思います。

アクセス解析自体はWebマーケティングの基礎となる技術ですが、ITが苦手という人たちにとってはまだまだ敷居の高いものですし、そんなことをやっている時間もスキルも無いというお店が多いことは容易に推察できます。

また、アクセス解析はあくまでも解析であり、そこで終わってしまってはビジネス上の価値はありません。Webを活用したマーケティングを行う上ではあくまでもごく一部であるという事実を知ると、個人経営の飲食店ではますます手が出にくくなる、という流れなのかもしれません。

これらの状況はアクセス解析ツールの多くが無料(FREE)であるにも関わらず生じている現象です。

私は、これは多少なりともFREEビジネスに従事するものにとって、1つの課題であると考えています。これはFREEビジネスの中長期目標に「IT活用の裾野を拡げること」や「情報格差の解消」が含まれているはずだと信じているからです。

現時点では、FREEビジネスやライフハックは「一定以上の知識を持った人がその恩恵に預かることができるもの」に留まっているという認識を持っており、まだまだ、その存在を知らない、あるいは意識していないという人が多いのが実態です。残念ながらクオリティ・レストランの個人経営者の方にはそういう方が多いような気がしています。

私自身を含め、IT屋やマーケ屋はそういう人たちと会話をする際に、前提をどこに置けば良いのか、というのがわからない(わかりやすく言うと、何をどこまで分かっていらっしゃるのか、読み切るのが難しい)・・・ひいては面倒臭いとさえ思っている場合もあると思うのです。それでは裾野は拡がらないし、成功を共有することもできません。

一方で、知識や情報をタダで得ることを独善的に拡大解釈している人が多いのも事実。これではサービスの需給バランスが取れません。獲得した情報によって得た利益を何らかの形で還元する・・・ひいては経済全体が活性化し、社会が発展することを目指すことがFREEビジネスの理念である・・・と思っているのは私だけでは無いはずです。

この考えに基づき、このブログでは、可能な限り、「ITやマーケティングは苦手」というレストラン関係者の方にとって有意義な情報発信ができるように心がけていますので、どうか積極的に「××のことが知りたい」という声を寄せていただければと思います。

http://twitpic.com/1q7y2i

上記URLに掲載されているような不幸な事例は避けたいですよね・・・。

2010年5月24日月曜日

ブログを読まれる方へ

このブログの内容は、必ずしも最初に確たる結論ありきで書かれているわけではありません。漠然としたところから書き始めて、自分なりに整合性を確認しながらまとめていくので、朝から書き始めて結果的に書きあげるのに1日かかったりすることもあります。

その甲斐無く、せっかく読んでいただいた方を失望させてしまうようなブログにはしたくない・・・レストラン関係者の方にとってのライフハック でありたいと心がけてやっています。

ということで、IT、Webをレストラン経営に活用する際に色々な疑問がある場合はどうぞ気軽に jordan21th@hotmail.com までご質問ください(ブログのコメント欄に記述していただいても結構です)。

お寄せいただいた質問は、ご相談の上、ブログのねたにさせていただく場合もあります(共有できる情報はどんどん共有していきたいと思っています)。なにしろ、成功事例の露出が極めて少ない分野ですから。

満足のいく回答ができるかどうかわかりませんが、精一杯考えてお返事させていただきたいと思います(当方の判断で「これ以上は個別のコンサル案件でご相談」とさせていただく場合もあるかもしれませんが)。

レストランの業績低下は個々のお店の問題でもありますが、できればみんなの叡知を持ち寄って、維持・発展していける環境作りができれば、と夢見る毎日です。

2010年5月22日土曜日

お店の魅力を効果的に伝える方法

外食って本当に色々な魅力を持っていて、楽しむためのの切り口が豊富だなーとつくづく思います。

一方、専門誌を見ると、毎年特集記事は変わり映えせず、ほぼローテーション。その理由は想像できますし、決してネガティヴな受け取り方だけをするつもりもありません。それでも、コンテンツの見せ方、料理の魅力の伝え方には疑問を感じることが多いです。自分で感じている理由を挙げてみます。
  • 理由その1
    • 出版社が想定・設定している読者が飲食業界関係者であり、一般消費者に響き難い内容になっている(少なくとも私は自分を素人だと自覚しています)
  • 理由その2
    • 読者が食べたことが無い料理や行ったことが無いレストランの仮想体験をさせるだけの生々しさが不足
  • 理由その3
    • テキスト、写真での表現の限界を感じる
【理由その1 について】
例えば、ここ数年、ローテーション率の高い「独立・開業」特集などは、一般消費者の中ではごく一部のグルメブロガーさんにしか意味の無い情報だと思うのです(それでも、新店オープンに関する情報という切り口で捉えて終わり・・・?)。一般消費者も興味を惹くような特集もありますが、ネットで十分に取得可能な情報もあり、紙媒体ならではの魅力(とは何か?という話もありますが)があまり感じられない・・・とか。

「専門料理」は写真のクオリティが圧倒的に高いですし、各誌とも特集・テーマに沿って横断に情報を得ることができることもメリットだと思っているのですけれど。

【理由その2、その3 について】
数年前からマーケティングで重視されている考え方の1つに経験価値とかユーザーエクスペリエンス(UE)と呼ばれるものがあります。その店内で時間を過ごしたり、料理を食べることとどんなハッピーな体験ができるのか、誌面を通じて伝えてくれれば、1人の外食好きとしてうれしいのですが・・・。

私はよく日テレの「ぐるナイ ゴチになります」を見ます。出演者が詳細なコメント無しにただ「美味しい~コレ」と言っているだけですが、調理の状況が生々しく見えますし、視聴者はその場を共有しているような気になれるのではないでしょうか。正に動画ならではのライブ感があり、正にUE。エンターティメント番組としての面白さと食事の楽しさ&料理の美味しさを分かり易く伝えることの両面で成功していると思っています(少なくとも石ちゃんの「まいう~」よりは)。

※BS日テレの「スペシャリテ紀行 皿の上の物語」やテレ朝の「食彩の王国」も良いコンテンツだと思います。

やはり、これらと比較すると、紙媒体の限界を感じてしまいます。

その点、Webはテレビと同等以上の表現と豊富な切り口を持てる点が素晴らしい。今後は動画でお店のプロモーションや調理のデモンストレーションを行うお店も出てくるでしょうし、一般消費者がレストランを仮想的に経験し、より訪問欲求を喚起することができるはず。

いずれにせよ、メディア毎にコンテンツと表現の組み合わせを最適化しなければ、お店や料理の魅力をこれまで以上に伝えることはできないでしょう。

トライあるのみ!

2010年5月21日金曜日

SNSサービス企業の業績を見て思ったこと

ソーシャルメディアを活用したマーケティングを考えるに際し、業界動向は欠かせません。
で、ループス・コミュニケーションの斉藤氏のブログに素晴らしい情報を発見しました。

http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2010/05/20105mixigree-7.html

フリー(無料)ビジネス真っ盛りの現在、それに乗っかる利用者はその恩恵にどっぷり浸かることもできますが、サービス提供企業にとってその収益化(マネタイズ)が大きな課題なのは言うまでもありません。そんな中でモバゲータウンは携帯という課金し易いデバイスを選び、ゲームを主力コンテンツとすることで上手く収益を伸ばした、ということでしょう。とにかく、驚くべきはそのビジネスを進捗させるそのスピード。流石は南場社長と彼女が選んだスタッフというべきでしょうか。

今後はそれぞれのサービスがその個性を先鋭化・深化させる一方で、より可能性の大きい市場への拡大を狙っていくでしょうから、それらをマーケティング活動の場として利用する人・組織は、より一層、目的に応じた「漁場」を選ぶ意識を高める必要があると思われます(何度考えてもこういう結論になってしまう・・・)。

どうかレストラン関係者の方々も、「顧客の居場所」や「顧客がその場所で望むこと」、そしてその場を選んでマーケティングを行うことの費用対効果(or 労力対効果)などを十分に意識して、集客策をご検討されますように。

2010年5月20日木曜日

レストランのWebマーケティングをAISASで考えてみる(その2)

前回のつづきです。
個人経営のクオリティレストランのWebマーケティングにおいてAttention(注意喚起)→Interest(興味)をどのように(≒誰に対して or どの市場に対して)実行するか、はなかなか難しい課題です。

マクドナルドや牛丼チェーンのようにデフレ経済の代表選手としてマスコミがその動向を取り上げてくれることはありませんし、マス広告を出すことも難しいでしょう。先に記載したように料理系の専門誌での露出も一般ユーザーにはなかなかヒットしない可能性が高いようです。

とするとAttention→Interestというプロセスでは
  • 現段階でまだ効果が期待できる一般誌での露出
  • SEO検索結果連動型広告(PPC)などを頑張って、HPやブログに積極的に誘導する
  • ぐるなびや食べログなどの大規模グルメサイトで良い意味で目立つようにマネジメントする
  • ホテルや大手レストランがやっているように、メディア各社に対してプレスリリースを出していく(間接的ですが)
といったことが具体的に考えられますが、それぞれの難易度や費用対効果(労力対効果)はどうでしょう?

【一般誌での露出】
集客を期待できる飲食との相関関係の高い雑誌への露出であれば良いでしょうが、いずれにしても短期的/一時的な集客インパクトに留まると思われますので、中長期的にはリピート促進如何にかかってきますね。また、寄稿依頼の主旨やその号全体の内容も吟味する方が良いと思います。そもそも発行部数が少ない雑誌に載せても得られるビジネスインパクトも少ないでしょう。

【SEO、PPC】
ビッグワード(例えば、「フレンチ」や「渋谷」)で検索上位になるようにするにはSEOもPPCもそれなりのコストがかかることを覚悟しなければなりませんし、確度の高い見込み客へのリーチもほとんどの場合は期待できないと思われます。また、PPCは繁忙期(or 閑散期)だけに留めるといったやり方が一般的でしょうし、それだけで中長期的な集客効果として考えることはできません。

スモールワードやビッグワードの組み合わせについてはコスト面、かつ継続的な集客の可能性があると思っています。例えば、「シャラン鴨」というキーワードでGoogleを検索したときに、検索結果上位にレストランのHPは表示されていません。また良質な野菜で有名な「ビオファームまつき」で検索した場合も同様です(2010年5月20日時点)。

これは、これらのブランド性の高い食材を使っていることを各レストランがHPという媒体を使って市場に訴求できていないということを示していると考えます。逆に言うと、今なら、これらのキーワードを使って自分の店を露出をさせやすい状態にあるということです。

レストランにおいては、あまたあるキーワードツールなどをうまく活用しながら、効果の高いスモールワードを見つけ出し、SEO、PPCなどに取り組む価値と余地があると思います。

【ぐるなび、食べログなどでの露出度アップ】
口コミサイトとして位置づけられる食べログで露出アップを狙うには「ランキングを上げる」か「広告出稿する」といったところでしょうが、ランキングはそう簡単には上がりません。よって広告を出すということも考えられます。

食べログのユーザー層は「食のトレンドに敏感」と言われており、そこそこ高いポイントを取っているお店が広告を出すことは、かえってネガティブな印象を与える可能性もあるでしょう。それでも、食べログ経由で来てくれた人がポジテイヴな口コミを書きこんでくれることも期待できるので、ちょっと総合的に考えれば、短期的な売上アップと中長期的な集客の両面で期待できるかもしれません。

ぐるなびについては、新たに「クオリティ・レストランのユーザーを対象にしたサービス」を立ち上げるという噂があるので、良い客筋に対するリーチという意味では現状よりも良くなるかもしれません。

【メディアへのプレスリリース】
こんな感じのものです。
個人経営のレストランでちゃんとやっているところは少ないのではないでしょうか。自分でできることは自分でやるということであれば、受け身にならず、何かイベントをやるときなどに積極的に告知していくべきです。

常連客やHPで告知するためにどうせ資料は作るわけですから、それほど手間はかかると思えません。ユーザーに対しては間接的なアクションになってしまいますが、そこを起点にマスからの取材が入ることもあるでしょうから(ミシュランで星を取っているようなお店であれば、リリースする情報に対するマスコミからの注目度も高いでしょう)。

全体を通して言えることは、Attention→Interestの段階では見込み客の絞り込みが甘く、確度が低いものですから、費用対効果を強く意識しないと「鯛で海老を釣る」状態になる恐れがあるということでしょう。

2010年5月15日土曜日

レストランのWebマーケティングをAISASで考えてみる(その1)

WebマーケティングではAISASを消費行動のモデルとして、Attention(注意/認知)→Share(共有)までの導線を計画すると良い、と言われています。このAISASモデルにレストランのWebマーケティングを当てはめて考えてみます。

ECサイトでの物販と外食で大きく異なる点として、ECサイトでは購入という消費行動がWeb上で完結するのに対し、外食は実店舗に来てもらうことが前提となることは言うまでもありません。レストランのWebマーケティングをAISASモデルに当てはめて考えると、Attention→Interest→SearchまでのプロセスとAction(予約 or 来店)の間には空間的・時間的に大きなラグが生じてしまい、Actionに結びつかないケースもあると思います。

ミシュランの星を取っているようなクオリティレストランでもドタキャンや空(カラ)予約(=行く気が無い、当日行くかどうかわからない)客への対応に苦慮しているという話も聞きますが、これもラグがあるゆえの課題であると言えるでしょう。このラグを如何に解消するかはレストランの集客において1つのポイントと言えるのではないでしょうか。

AISASのActionを予約と捉えれば、HPに予約機能を持たせることで、このラグの解消には繋がる可能性はありますが、それでも上記のような空予約の発生を完全に防ぐことはできません。それでも、予約者の電話番号やメールアドレスをレストラン側が記録できるのですから、直前での来店意志確認をできたり、予約客のモラルに訴えるような動きをすることもできます。よって空予約の抑止力かつラグ解消の第一歩となると思います。

ラグ解消のために、次に考える必要があるのは、他店への流出を防ぐということです。例えば、来店の2週間前に予約をしたお客が実際の来店までの間に何らかの理由でお店に対する興味を失う、あるいは他に魅力的な店があり、どうせならそちらにお金を使いたい、と思ってしまうことを防がねばなりません。そのための施策も練っておく必要がありますね。

予約をしたのが新規客であり、リピートに自信がある(≒現場でのサービスオペレーションに自信がある)お店であれば、初来店に限り特別なサービス(ex.割引など)提供といった施策も悪くないかもしれません。ですが、クオリティレストランであれば、割引が結果的にブランド力の低下に繋がることを考えます。ではどうするか?

用意された答えは無いというのが実状です。
予約数はマーケティングの成功指標の1つと言えますが、それをゴールにするのではなく、実際に来店してもらうことをゴールと考え、予約以降も顧客が店への訪問欲求を維持・増幅できるようにプッシュ型で情報提供していくことは有効ではないでしょうか。例えば、Webから予約してもらったお客様限定で新メニューのモニター応募チケットをメールで送付するとか、メニューがマンスリーで変わるのであれば、翌月のおすすめメニューの情報などを提供して翌月の予約欲求をさらに喚起するといったことも考えられるかもしれません。

いずれにしても、どのような提案にしても、その内容を良いタイミングで相手に伝えなければ検討してもらえないのですから、常にお客の消費への意志決定プロセス/行動を意識して適切なコミュニケーションをとっていくことが重要ということでしょう。

2010年5月13日木曜日

レストランのブランド保護

中国が「松阪牛」の商標登録却下


中国の商標侵害は本当に深刻ですね。
変に不安を煽るつもりはありませんが、有名な飲食店(特に日本料理店)ならその名前が既に登録されてしまっている可能性もあるのではないでしょうか。
そう思うと、飲食店も自店のブランドを確立と保護にもっと意識を傾けるべきなのかな、と思ったりします。

・・・浅くてすみません!

2010年5月1日土曜日

飲食店のワインリスト更新における課題と解決

飲食店関係者の方にとっては、ベバレッジ、特にワインリストの更新・管理を如何に早く確実に行うか、は日常のオペレーションにおいて割と大きな課題なのではないでしょうか。

ワインリストに関する業務といえば大体こんなところかと。
  1. マスターデータ(基本となる元データ)の作成(項目:産地、銘柄、生産者名、仕入れ値、売値、仕入先、在庫数、保管場所・・・)
  2. 仕入れ・販売時のデータ入力・更新
  3. Webサイト掲載用(店舗HP、外部グルメサイト)のワインリストの作成
  4. 店舗用ワインリストの作成
1と2はデータの管理、3と4は入力・管理されたデータをどういう書式で出力するかがテーマです。大きく分けてこの2つに関する課題ということになるでしょう。

2と4については、ワインの入荷・販売の都度、リアルタイムに近い形で在庫をメンテナンスできれば良いのですが、日々の業務に忙殺されてメンテナンスが遅れがちになるものです。お客様からオーダーが入って在庫を確認したら実は無かった、ということは私も何度か経験しました。1度なら良いですが、2度、3度と重なると顧客満足度を下げる大きな要因となりますので、避けたいトラブルですよね。

本来、顧客満足度を維持・確保することを前提に店舗オペレーションの優先度を考えるなら、ワインリストのメンテナンスを軽視することはできないはずなのですが・・・全ての在庫を見直すことができるのは棚卸しの時くらいでしょうから、必ず1日に1度(できれば営業終了後)、ワインリストのマスターデータをメンテナンスすることをお薦めします。

しかし、このメンテナンスをデイリーで行っても在庫数が合わなくなるトラブルが生じることがあります。

例えばExcelを使用している場合を想定すると・・・
マスターデータをメンテナンス後、それを元にして作った印刷用ファイルから印刷するという手順を取るところを面倒になり、印刷用ファイルの方だけを直接更新してしまい、ファイル毎にデータが異なる事態になってしまったという経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

また、ワインリストを複数のスタッフで更新する運用をしているケースでは、データに誤りがあった場合に誰が更新したときに誤りが生じたのかわからないという状況も発生し得ますし、自宅のPCと職場のPCの2台でデータのコピーを繰り返している間にデータの同期が取れなくなり、正確なデータを紛失してしまった方もいるかもしれません。

これらの原因は全てヒューマンエラーに因るものです。エラーが起きないように神経を遣うことも必要ですがヒューマンエラーは業務につきものです。それを前提に仕組みを考えることも重要でしょう。とはいえ、どんな状況にも対応できる仕組みを考え、構築するにはコストがかかり過ぎます。

ということで、今後、何度かに分けて、ワインリストの一元管理を簡単・安全・安価に実現する現実的な方法を少しずつ考えていきたいと思います。