2010年6月11日金曜日

レストランの経営戦略とその効果(株式会社ひらまつ編~その3)

ひらまつと言えば、10万本とも言われる豊富なワインのストックも大きな魅力の1つです。
2008年5月から「ワインプライス革命」と称し、店で提供するワイン価格の値下げ施策を開始しました。
以下は2008年9月期の決算説明会資料の抜粋です。

















この資料の通りであれば、ワイン好きの人にとっては大変喜ばしいことです。

ということで、特定の銘柄のワインについて、ポール・ボキューズのトップブランドである代官山の「メゾン・ポール・ボキューズ(MPB)」と金沢の「ジャルダン・ポール・ボキューズ(JPB)」、そして同ブランドのディフュージョンラインの「キャーヴ・ド・ポール・ボキューズ(CdPB)」を比較してみました。

さらに、ワインの品揃えで有名な東京の「アピシウス」、そして小売店との比較として、楽天市場の最安値と最高値も加えて比較したものが以下の表ですワインは、日本市場で有名で、一般的な流通量が多く、高級レストランを経営するひらまつグループの中でも価格面でヴォリュームゾーンに相当しそうなものを選んでみました(サンプル数が少ない点はご容赦を)。






ご覧の通り、この4つのワインは消費者から見た場合、「一般的な市場価格」と差が無いレベルまで下がっているとは思えません。シャンパーニュ2銘柄については、正規輸入代理店の国内希望小売価格とそれほど大きな差が生じていませんが、それはアピシウスでも同様でした。

また、同じ銘柄であっても、金沢(JPB)と東京(MPB)では価格差があるものと無いものがありました。一方で、同じ東京地区では、ファーストラインであるMPBとセカンドラインのCdPBで価格差がありません。

ちなみに、2008年9月期の決算報告会での平松社長の本施策に関する発言を私なりにまとめてみました。

























私の解釈が間違っている可能性も無いわけでは無いですが(その場合はスミマセン)、これらの情報をまとめて、ちょっと下世話な見方をすると・・・
  • 上記シャンパーニュ2銘柄は正規代理店から戦略的で優遇された価格で卸されている?
  • ひらまつがこの施策を打ち出す以前に仕入れた銘柄についてはあまり価格を下げていない?
  • 標準小売価格がある商品については、それとの差を小さくしてオンリストしているが、オープン価格のものについては、あまり・・・?
  • 通常、卸問屋/小売店からレストランが仕入れる場合の価格と一般消費者が購入する価格は結構な差がある。そのため、卸問屋/小売店→ひらまつの\2,000/本をリファレンスにする必要が無いという考え方?
  • 同一地域内、同じブランド内ではファーストライン/セカンドラインを問わず価格を統一?
など、素人くさい推察ができますね(汗)。
なお、ワインの輸入についてはグループ企業であるHIRAMATSU EUROPE EXPORT SARLが行っているようですね。とすると、少しは中間マージンが乗った価格で株式会社ひらまつには入ってきているという気がします(そんなこんなを考えると、やはり日本のワイン輸入の関税をもう少し下げて欲しいと思ってしまいます)。

改訂前の価格については、確かにちょっと高かったと思います。ただ、今のワインリストを見て、以前とそれほど差は無かったような気がするのは・・・きっと、気のせいでしょうね(苦笑)。

いずれにしても、流通面では他店に対して明らかにアドバンテージを持っているわけですから、消費者が十分に「ワインプライス革命」に魅力を感じ、かつお店側も売上増・利益増に繋がるよう、さらなる価格戦略が必要なのでは、と思います。

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