2010年4月25日日曜日

レストランの口コミ(WOM)促進を考える

消費行動のきっかけになる因子として最も有効なものの1つが口コミ(=Word of Mouth・・・ジャコ・パストリアスの名盤のタイトルにもなっていますね)です。今、商業活動を行う者にとって口コミとうまく付き合っていくことは避けて通れない問題ではないかと思います。

WOMの研究や実用化が進んできた日本でもWOMマーケティング協議会が発足し、「クチコミとは消費者間で行われる自発的なコミュニケーションである」ということを前提に以下のようなガイドラインを作りました。

【WOMマーケティングに関するガイドライン~前文】
情報社会の進展に伴い、消費者自身が情報発信するソーシャルメディアが影響力を増している。メディア空間に集積され、再編集された情報は「集合知」として、従来にない知の体系を構築しつつあるが、「知」が社会や消費者にとって有用であるためには、個人の健全で率直な情報発信が妨げられないことが重要となる。このような「知」こそWOMマーケティングの基盤との考えに基づき、WOMマーケティング協議会では基本理念とガイドラインを定め、関係する団体や人々と力を合わせ、ソーシャルメディアの発展に貢献することを目指すこととした。


このような口コミに対する自発的なガイドラインが発生するに至った経緯は、米国でウォルマートがブログを悪用したプロパガンダを行い問題になったことに端を発すると言われています(関連動画:ワールドビジネスサテライトより)。

今はあくまでもガイドラインであり、実際に規制されるようになるのはいつになることかわかりませんが、良識を持って口コミをビジネスに活用していくことが必要だということですね。

最近では口コミ支援ビジネスも盛んになりつつあるようで、今後はレストラン業界でもこれらのサービスを活用するケースが増えるかもしれませんが、いきなり有償サービスを導入するのではなく、費用対効果を十分に検証したうえで取り組むことが必要でしょう。

自力で出来ることとして、例えば、自店のお客様のブログに書いてもらうような働きかけをしたり、影響力の強そうなブロガーの人にモニターとしての来店を促すよう取り組むことも考えられると思います。

話は少しそれますが、レストランの有力な広告媒体と考えられてきたであろう「料理通信」の読者層はレストラン経営者や食品メーカー・商社勤務の方など、「食」を生業としている方々や、マーケッター、コンサルタント、マスコミなど、料理業界に携わっている方々が多いということですし、「専門料理」の読者層も97%が業界の方だということです。これを見ると、露出するメディアを選ばないとその効果があまり得られないことが容易に理解できます。

口コミを促進する上でも、しっかりと釣り糸を垂れるポイントを見定め、実施方法の妥当性や期待効果を想定し、結果分析して口コミの最適化を繰り返していかないと、結局、「口コミも期待した集客増にはつながらない」といった結論を導くことになりかねません。ということで、自分なりの成功パターンを見つけるまで仮説-検証を繰り返して、目標に近づくよう粘り強くやっていくことが一番ではないかと思っています。

2010年4月22日木曜日

【ワインねた】ワイン持ち込み(=BYO)について

(語り尽くされたネタですが、自分なりにまとめてみたくて書き始めました)

私はmixiで「マイナーエリアのフランスワイン」というコミュニティをやるほどワインが好きです。

私の周りにも多くのワイン愛好家の方がいますが、ワイン歴の長い人は自分の好みが定まっているので、あまり浮気をしません。そしてそういう人たちの中には、自分が所有しているワインをレストランに持ち込んでワインを楽しむ(=Bring Your Own)スタイルを持った人が多いように思います。私も以前はよくBYOをしていました。

しかし、BYOの際に飲めるワインは良くも悪くも自分のフィルターを通して買ったワインを飲むことしかできず、自分が知らないワインとの新たな出会いの機会にはなりません。

それに、BYOはお店にとって「他人の家に土足で踏み込む」行為に近い場合もあることをワイン愛好家も考慮すべきだと思います。もちろん、お店との信頼関係が築けている場合は問題ないでしょうが、それでも場合によってはトラブルも生じます。

例えば、ワイングラスに関するトラブル(?)はよくある話です。ワインに合わないグラスだったり、ワインは複数本あるのにグラスは在庫の関係で1個で使いまわさねばならない、などです。お店の常連さんならお店側のそういったシチュエーションを理解しているでしょうが、同席した人がその店を訪問するのが初めてで、そういう状況に寛容では無い人もその場に参加するとなれば、その人にとってもお店にとっても不幸な出会い・マッチングということになってしまいます。
また、BYOしたワインがブショネだったとしても、その責は持ち込んだ自分自身が負うことになるわけです。BYOをする人はそういうリスクを承知の上でいることはわかっていますが、この状況に直面すると自分もレストラン側も何とも言えないバツの悪さを感じることになります(同席者も気まずさを覚えるでしょう)。

そんな思いや経緯もあって、私は自発的にBYOをすることは年に1~2度程度に減りました。レストランのワインリストからワインを選び、飲むということは大変にワクワク・ドキドキすることですし、お店とのコミュニケーションを活発にし、その場を明るい雰囲気にすることに大いに寄与しますしね。

レストラン側も、ワインリストづくりとその提案については手を抜かず、提供する料理との十分な整合性と他の人が持ち得ない専門性を発揮し、来店客がお店のワインを心から楽しめるよう、一層の努力をして欲しいと思います。

ここまではBYOのネガティブ(?)な部分について書きましたが、もちろんBYOのポジティブな側面も多くあります。以降ではBYOを受け入れるレストラン側から見たメリットを考えてみます。

長引く不況で節約に疲れた? “巣ごもリッチ”急増のワケ

この記事にもあるように、外食業界での客足の原因は不況に伴う消費指向の変化にあります。

このトレンドに同調してケータリングサービスやお取り寄せを自店のビジネスに加えるお店もあるかもしれません。それも悪くないでしょう。ですが、これらのサービスと店舗経営とを並行運用するならば、固定費がかかる店舗での客席回転率の向上を目指す方が効率は良いでしょうし、実際に足を運んでもらってお店の雰囲気やサービスの心地よさをアピールする機会を探すべきと考えます。

これらの観点から、BYOを(一時的にでも)積極的に推進することはレストランにとってビジネスチャンスではないでしょうか。ワインのBYOをする人の多くはフローかストックに余裕がある人でしょうし、好感が得られればリピーターになってくれる可能性もあります。同席した人たちのメールアドレスや名刺をもらえれば、より幅広く継続的な関係を築く礎にもなります。

ワインの品揃えを売りにしているお店ではBYOを受け入れにくいのも事実でしょうが、付加価値の付け方(ex.グラスの貸し出し、BYOされるワインに合う料理を一緒に考える、など)とサービス提供方法(ex.BYOは週前半のみ可能、など)によって十分価値あるものになるのでは、と思っているのですが・・・いかがでしょう?>レストランの皆様

今回はここまで。

2010年4月20日火曜日

OpenTableについて

昨年くらいからOpenTableという飲食店予約サービスが日本でも目立つようになってきました。現在では東京エリアでも300を超えるレストランがこのサービスを導入しています。

単に予約ができるだけでなく、顧客管理や来店履歴の管理、メールマーケティングの機能まで持っているようです。これらの機能をどこまで使いこなしているのかわかりませんが、これを導入した私の知人の1人は「結構、便利」という評価をしていました。

私はOpenTableの機能やサポートを熟知しているわけではありませんが、いくつか気になっていることがあります。

「高機能なのは良いがレストランの運用担当者の人が本当に使えるようになっているのか?」という思いとそこから派生するいくつかのことです。

ITに精通している担当者がいるお店であればこれらの機能を使いこなすことも可能でしょう。ですが、個人経営者のお店ではそれは難しい所です。となると、十分な導入サポートがあることが前提になるでしょうが、そういうサービスがあるのか、またそれができるだけの体制が用意されているのか・・・そして、それらが用意されていてもコストが個人経営店に支払えるような費用なのかどうか。

加盟レストランの声

を読むと評価している部分は「予約管理が正確になった」という点に集約されています。これって、このシステムを用いずともPCが1台あれば可能なことで、OpenTableの本質は管理している顧客の分析とリピート促進という点にあるはずです。正確な予約管理をするだけのために専用端末の設置スペースを取り、そこそこのライセンスフィーを支払うということに対して、レストラン経営者の方々も費用対効果の点で見直すべきではないかと感じます(そもそも、消費低迷の現在において、現在の飲食店の最大の課題は集客なのでは無いでしょうか)。

OpenTable自体を否定するものではありませんが、お店の経営にとっての優先課題が、予約管理などの「業務の精度向上」や「効率化」なのか、それとも他の何かなのか、などを見極め、またそれらの費用対効果を判断して導入を決められることを強くお薦めします。

関連記事:http://diamond.jp/articles/-/6318

2010年4月18日日曜日

レストラン様向け IT/Webを活用したマーケティング勉強会のお知らせ

3月から始めた「IT/Webを活用したマーケティング勉強会」の第2回目を本ブログでも告知します。

mixiなどSNSの盛り上がりが落ち着いた一方で、Web上でのコミュニケーションの中心はTwitterにシフトしてきており、ビジネスにおける成功事例も目に触れる機会が増えてきました。これらの動きを単なるトレンドとして捉えるのではなく、各チャネル・技術の特性を理解することでクオリティ・レストランの経営にどのように活かすべきかを考える機会にしたいと考え、以下のような内容で開催したいと思います。

 各チャネルやそれに付帯する技術毎の特性とそれらに対する期待効果
 チャネル(HP、ブログ、SNS、ぐるなび・食べログなどのグルメサイト、メルマガ、Twitter・・・etc)
 それぞれ、何をなんのために使うのか、また、どんな効果が期待できるのか?
 時間的に全ての要素についてお話しし、議論をすることは難しいかも・・・。その場合は3回目の際にお話しさせていただきます。
第1回目に不参加の方でも問題無く参加できる内容にしています。また、どうぞお気軽にご参加くださいますようお願いいたします(今回以降は参加費を都度、いただくことになりますことをご了承ください)。

なお、今回から参加費が有料(\2,000-/人)となりますので予めご了承くださいませ。また、今回は資料を配布いたします。
  • 開催日時
    • 2010年5月18日(火) 15:00~16:30くらい(終了後の簡単な片付けにご協力ください)
  • 場所
  • 参加費用
    • \2,000-/人
  • 参加想定者/募集人数
    • 最低限のコストでIT、Webを活用した集客や既存の顧客との関係形成に取り組もうと思っているレストラン関係者の方々

    • 現時点でIT、Webに精通している必要はありません

    • 先着10名
  • 申し込み/問い合わせ先

2010年4月17日土曜日

「日本人は、ネット上での人間関係づくりや情報発信に消極的」という記事から感じたこと

日本人は、ネット上での人間関係づくりや情報発信に消極的」 from Yahoo! Japan

元ネタはこちら

このレーダーチャートはトーマツのレポートから抜粋したものです。 

外資系企業で就労した頃、「日本人は積極的に議論に参加しない傾向にあるが、ポジティブでもネガティブでも良いから自分の意見を述べて欲しい。それがないなら会議に参加する価値は無いじゃないか」とご注進を受けたことが何度かあります。これって語学力の問題だけじゃないような気はしていました。

一方で、「ネットの申し子」とも言えるような若手のアルファブロガーの人たちは、実に堂々と自分の意見をオープンな環境で発表し、交流の輪をどんどん拡げています。その前提には「周囲からのフィードバックを積極的に受け入れる」という姿勢を看て取ることができ、端から見ていて清々しさを感じることもあるほどです。
話をレストラン業界に転じると、「うちの良さをわかってもらえる人だけわかってくれれば良い」、あるいは「不言実行~良い素材で良い調理をやっていけば自然にお客はついて来てくれる」というスタンスのお店が少なくないように思います。

レストランは料理やサービスが商品ですが、クオリティの高いお店ほど確立された「スタイル」を持っています。この「スタイル」にはお店の内外装やスタッフやオーナーの人柄といった広い範囲に及ぶものです。常連さんはそのスタイルに必ずしも100%賛同しているわけでは無いと思いますが、少なからずその「スタイル」の持つ魅力に惹かれて常連さんになったわけで、常連さんの多いお店の方はその事実に強い自負心を持っているはずです。

ですが、「スタイル」は不変のものではありません。例えばフランス料理のスタイルにおいても、エスコフィエが確立したフランス料理の基礎をそのまま現代に再現させると、味・盛り付けともに「いささか古過ぎる」はずです。コアとなるものを持ちつつ、トレンドや時代性を自分なりにアレンジして表現している方がほとんどだと思います。このコアの部分を「スタイル」と捉えるのか、それともアレンジしたものを「スタイル」と捉えるかは人それぞれかもしれませんが。

いずれにしても「スタイル」を継続し、時間軸が進んでも受け入れられるようにするためには周囲からのフィードバック(好意/批判の両方)を積極的に得る姿勢は欠かせないのではないかと思います。

幸い、自筆の本を出版したり、メディアの取材を受けずとも、Webを使えば自分から主体的かつ安価に情報を発信し、また、その反応を見ることもできるのです。「お店に来てくれる人」と「来てくれない人」の違いを理解する材料にもなるかもしれません。

この投稿のきっかけとなったトーマツのレポートにも、日本人は米、英、独と比べても「インターネットの情報収集(広告含む)や活用に積極的」であることが書かれています。言い方は悪いですが、「漁場はWebに移っている」ということを意識して、お店からの積極的な情報発信にマインドを切り替えていくことをオススメいたします。

2010年4月9日金曜日

レストランHPのアクセス解析

ホームページのアクセス解析はレストランにとっても有意義です。
ホームページを1日何人くらいの人が見てくれているのか、訪問した人がどういうキーワードで検索して辿り着いたのか、どのコンテンツがよく読まれているのか、など様々な情報が得られます。
これは取りもなおさず、「自分が管理しているサイトやコンテンツが目的・目標をどの程度達成しているのかを評価し、改善・発展のヒントを得られる」ということに他なりません。

レストランのホームページに当てはめて考えてみましょう。
例えば、入口ページを見ただけで直帰してしまう割合が高いようなら、サイト訪問者が

・このお店は自分が求めている感じとは違う
・このサイトには自分が欲しい情報は無い
・つまらない

などのネガティブな印象を抱いたと推察できます。
逆に、直帰しなかった場合を掘り下げて分析するなどにより、直帰者がネガティブな印象を持った理由を類推できますし、それをきっかけとしてコンテンツを改善していったり、お店のコンセプト自体や実店舗でのオペレーションを強化させるアプローチをとることができるのです。

このように既にホームページを立ち上げているお店の方にとって、アクセス解析はホームページ(とお店自身)の維持・発展に欠かせないPDCAサイクル実行の第1歩となり得ます。

2010年4月6日火曜日

レストラン様向けにホームページ診断サービスを始めました。

既に多くのレストランが自身のホームページを立ち上げていらっしゃいます。しかし、ホームページがその目的や優先事項に対してどの程度の成果をあげているのか、稼働の実態や課題を正確に把握されている経営者の方は決して多くありません。

Web上にも無料でのWebサイト診断ツールはいくつもあります。てっとり早く改善のヒントを得られることもあり、私も利用する場合があります。一方で、ツール運営会社に対するバナーリンクが事前に必要だったり、1つの視点(ex.検索エンジン対策)に偏り過ぎているものも多く、診断結果やアドバイスの内容が、業態やお店の実状、そしてお店のホームページの目的や本来の個性と大きく乖離していると感じることも少なくありません。

そこで、お店のホームページが「目的・優先事項に対してどの程度の効果を発揮しているのか」を定量・定性の両面から分析し、「どのように改善していくべきか」を考える機会を有償サービスとして提供したいと考えました。

当方からの押し付けや自己主張をするのではなく、あくまでも「お客様自身が現状を把握し、考え、答えを見つける」ことをご支援させていただくことが目的としたサービスです。スポット的な導入が可能ですのでお気軽にお問い合わせ・ご活用いただければ幸いです(当方の他のサービスを無理強いするようなことはございませんのでご安心ください)。

資料をご希望の方やサービスのお問い合わせはjordan21th@hotmail.com まで(もしくは090-4531-3119へ)。