そして、書籍の返本制度が一般的に認知されるようになり、その返本率が約40%という現状を知ると、クオリティ・レストランの関係者にとっても本・雑誌に掲載されることの意味を再考する必要があるはずです。
幻冬舎の2010年3月期決算説明会資料より |
【発行部数/実売部数】
雑誌名 | 出版社名 | 発行部数 | 実質発売部数 | |
KANSAI1週間 | 発行:サンケイリビング新聞社 講談社 | 96,540 | * | 57,924 |
関西ウォーカー | 角川グループパブリッシング(角川マーケティング) | 118,160 | * | 70,896 |
東海ウォーカー | 角川グループパブリッシング(角川マーケティング) | 83,320 | * | 49,992 |
TOKYO1週間 | 講談社 | 86,696 | * | 52,018 |
東京ウォーカー | 角川グループパブリッシング(角川マーケティング) | 91,434 | * | 54,860 |
ぴあ(首都圏版/関西版/中部版) | ぴあ | 135,876 | * | 81,526 |
福岡ウォーカー | 角川グループパブリッシング(角川マーケティング) | 84,750 | * | 50,850 |
北海道ウォーカー | 角川グループパブリッシング(角川マーケティング) | 46,056 | * | 27,634 |
横浜ウォーカー | 角川グループパブリッシング(角川マーケティング) | 88,810 | * | 53,286 |
散歩の達人 | 交通新聞社 | 80,000 | 48,000 | |
湘南スタイルmagazine | 枻出版社 | 150,000 | 90,000 | |
Meets Regionalミーツ・リージョナル | 京阪神エルマガジン社 | 150,000 | 90,000 | |
dancyu | プレジデント社 | 126,109 | * | 75,665 |
「旬」がまるごと | ポプラ社 | 50,000 | 30,000 | |
食楽 | 徳間書店 | 100,000 | 60,000 | |
ar | 主婦と生活社 | 124,142 | * | 74,485 |
with | 講談社 | 470,000 | * | 282,000 |
MORE | 集英社 | 484,167 | * | 290,500 |
25ans | アシェット婦人画報社 | 70,667 | * | 42,400 |
GINZA | マガジンハウス | 71,859 | * | 43,115 |
SPUR | 集英社 | 115,834 | * | 69,500 |
ELLE JAPON | アシェット婦人画報社 | 88,200 | * | 52,920 |
フィガロジャポン(madame FIGARO japon) | 阪急コミュニケーションズ | 70,548 | * | 42,329 |
Numéro TOKYO | 扶桑社 | 60,000 | 36,000 | |
AneCan | 小学館 | 260,000 | * | 156,000 |
Oggi | 小学館 | 219,250 | * | 131,550 |
CLASSY. | 光文社 | 181,750 | * | 109,050 |
GISELe(ジゼル) | 主婦の友社 | 103,450 | * | 62,070 |
Domani | 小学館 | 125,750 | * | 75,450 |
BAILA | 集英社 | 150,834 | * | 90,500 |
MISS | 世界文化社 | 84,534 | * | 50,720 |
GLAMOROUS | 講談社 | 119,250 | * | 71,550 |
オズプラス | スターツ出版 | 106,084 | * | 63,650 |
CREA | 文藝春秋 | 83,709 | * | 50,225 |
FRaU | 講談社 | 82,750 | * | 49,650 |
amarena | 扶桑社 | 80,000 | 48,000 | |
VERY | 光文社 | 243,075 | * | 145,845 |
Grazia | 講談社 | 68,792 | * | 41,275 |
Como(コモ) | 主婦の友社 | 94,392 | * | 56,635 |
saita(咲いた) | セブン&アイ出版 | 180,050 | * | 108,030 |
LEE | 集英社 | 311,667 | * | 187,000 |
STORY | 光文社 | 245,634 | * | 147,380 |
Precious | 小学館 | 102,417 | * | 61,450 |
marisol | 集英社 | 60,000 | * | 36,000 |
レディブティック | ブティック社 | 85,000 | 51,000 | |
家庭画報 | 世界文化社 | 157,080 | * | 94,248 |
クロワッサン | マガジンハウス | 282,646 | * | 169,588 |
pumpkin | 潮出版社 | 187,292 | * | 112,375 |
婦人画報 | アシェット婦人画報社 | 96,792 | * | 58,075 |
ミセス | 文化出版局 | 98,417 | * | 59,050 |
ViVi | 講談社 | 432,500 | * | 259,500 |
CanCam | 小学館 | 400,000 | * | 240,000 |
JJ | 光文社 | 198,767 | * | 119,260 |
Ray(レイ) | 主婦の友社 | 199,134 | * | 119,480 |
オズマガジン | スターツ出版 | 87,113 | * | 52,268 |
Hanako | マガジンハウス | 95,667 | * | 57,400 |
SAVVYサヴィ | 京阪神エルマガジン社 | 170,000 | 102,000 | |
Richer(リシェ) | 京阪神エルマガジン社 | 100,000 | 60,000 | |
Mercedes magazine | 世界文化社 | 163,000 | * | 97,800 |
Gainer | 光文社 | 105,659 | * | 63,395 |
MEN'S CLUB | アシェット婦人画報社 | 61,384 | * | 36,830 |
Casa BRUTUS | マガジンハウス | 75,917 | * | 45,550 |
Safari | 日之出出版 | 74,909 | * | 44,945 |
BRUTUS | マガジンハウス | 104,114 | * | 62,468 |
Pen(ペン) | 阪急コミュニケーションズ | 72,253 | * | 43,352 |
UOMO | 集英社 | 36,667 | * | 22,000 |
ENGINE | 新潮社 | 36,509 | * | 21,905 |
おとなの週末 | 講談社 | 135,667 | * | 81,400 |
めしとも | 角川グループパブリッシング(角川マーケティング) | 55,600 | * | 33,360 |
MEN’S EX | 世界文化社 | 54,703 | * | 32,822 |
LEON | 主婦と生活社 | 72,942 | * | 43,765 |
一個人 | ベストセラーズ | 200,000 | 120,000 | |
サライ | 小学館 | 187,500 | * | 112,500 |
- 「*」は印刷証明付部数
- 表の4列目:[実質発売部数] = [発行部数] - [発行部数]×0.4
雑誌名 | 出版社名 | 発行部数 | 実質発売部数 |
専門料理 | 柴田書店 | 91,000 | 54,600 |
月刊食堂 | 柴田書店 | 82,000 | 49,200 |
近代食堂 | 旭屋出版 | 95,000 | 57,000 |
日経レストラン | 日経BP | 19,137 | 11,482 |
グルメジャーナル | 飛鳥出版 | 105,000 | 63,000 |
料理通信 | 料理通信社 | 50,000 | 30,000 |
料理王国 | 料理王国社 | 100,000 | 60,000 |
雑誌名 | 出版社名 | 平均発行部数 | 実質発売部数 |
東京カレンダー | 株式会社ACCESS | 85,000 | 51,000 |
こうして見ると、実売で6ケタ売れている雑誌って本当に少ないものですね。JJなんて今から25~6年前は凄く売れていたように思うのですが、私の思い違いだったのでしょうか・・・。
雑誌の場合、店頭での立ち読みで済ませてしまう(賢い?)消費者も多いため、実際に購入した人以上の人が掲載された情報を入手した、と考えるべきでしょうが、思った以上に売れていないですね。
なお、大日広告社のHPには各誌の媒体特性が記述されていますが、統一された特性情報ではない点には注意が必要です。ここでは料理王国の地域別読者シェアが出ていたので、転記しました。
これを見ると、料理王国の読者の63%が関東と関西に集中しており、実売6万部のうち37,800部が関東・関西の大都市圏で売れている、ということがわかります。
【コンバージョン率は?】
コンバージョンとは見込み客の成約率のことです。雑誌に掲載されたことがきっかけとなってお客がお店を訪問してくれる確率はどの程度なのでしょうか? WebのECサイトの場合、平均1~5%といったデータがあります。これを前提に雑誌を考えてみましょう。
飲食関連の雑誌とそれ以外の雑誌(例えばファッション誌)とでは、そもそも主旨が全く違います、それを読む人のモチベーションも全く異なるでしょう。仮に、掲載された飲食店のコンバージョン率を以下のように仮定すると、
雑誌名 | 出版社名 | 平均発行部数 | 実質発売部数 | 平均コンバージョン率(仮定) | 期待客数 |
東京カレンダー | 株式会社ACCESS | 85,000 | 51,000 | 3% | 1,530 |
料理通信 | 料理通信社 | 50,000 | 30,000 | 5% | 1,500 |
Meets Regional | 京阪神エルマガジン社 | 150,000 | 90,000 | 2% | 1,800 |
STORY | 光文社 | 245,634 | 147,380 | 1% | 1,474 |
こんな感じになります(あくまでも、仮定の話です)。
料理通信とSTORYでは実売部数に結構な違いがあっても、コンバージョン率が違うとそれほど大きな違いにはならないということがわかります。また、この表の例ではMeets Regionalが最も多くの来店数を期待できることになります。よって、お店サイドから考えれば、Meets Regionalに掲載してもらえればメリットになりますし、広告を出すならMeets Regionalにお願いしよう、ということになります。
例えば、東京カレンダーなどは新規にオープンしたお店を中心に非常に多くのお店が掲載されます。掲載されたお店が50件あって、平均コンバージョン率が3%としても、実際は相当なバラツキがあると仮説を立てることもできます。上記の表の例で言えば、仮に最低コンバージョン率が0.2%だとすれば、期待客数は102にまで落ちてしまいます(有料広告掲載の場合はこういったことをもっとシビアに考える方が良いでしょうね)。
逆にSTORYのような雑誌ではレストラン紹介はNews記事か飲食に関する特集の場合になります。News記事の場合、同業他店が紹介される可能性は低いですから、飲食店としての注目度は高くなります。
よって、短期での集客を目的に掲載してもらうのか、中長期的な効果を狙うのか、など掲載してもらう目的・意味をある程度絞っておかないと、思った以上に効果が無いという否定的な印象や誤った判断をする場合も生じてしまいます。これは雑誌に限らず、TV取材やホームページ、ブログ、Twitterなども然り。それぞれのメディアの特性を理解すること、自店が欲する効果が期待できそうにないなら手間やコストとのバランス次第では断る勇気も必要。期待する効果が短期的な集客なのであれば、それに近づくことができるメディアや露出法を選択しないといけません。
それに、集客以外にも色んな価値もあるはず。その価値・目的を曖昧にして安易に手間と情報を垂れ流しにするのはお勧めいたしません。