OpenTableについては、このブログでも以前取り上げたことがありました。しかし、正直、大した情報を記載できていませんでしたので、今回のセミナーで「OpenTableの秘密」に迫れるかと期待していました。結論から言えば、「うーん、今ひとつよくわからなかった」というのが正直なところです。5,000円のセミナー代を取るのであれば、もっと上手く会を進めて欲しかった・・・
とはいえ、いくつかわかったことがあるので、そのご報告と個人的な感想などを述べてみます。
消費者にとって | 店側にとって | |
24時間、365日の予約受付が可能 | 【メリット】 インターネットにアクセスさえできれば、どこにいても予約ができる(ex.スマートフォン経由で電車の中から予約)。 | 【メリット】 実店舗の営業時間中など忙しい時には当日以外の電話での予約はできれば受けたくないので、インターネットで営業時間外に予約してもらえれば、店も助かる。 【疑問】 ただし、Quintessenceや京都の「なかひがし」のように今から何ヶ月後の予約をいついつの何時から開始します、といった方法を採っているお店には対応できるのかどうか不明。 |
リアルタイムで予約が確定する | 【メリット】 レストランHPによく見られる予約機能は空きテーブルを一括していないため、即座に予約確定するわけではない。その後の確認メールが届いて初めて確定となる。 多くの場合、確認メールが送られるまで、それなりのリードタイムが設定されているため、当日予約したい人にとっては「使えない」機能となっていることもあり、消費者にとってもOpenTableによるメリットは大きい。 | 【メリット】 OpenTableは空きテーブルのオンライン在庫管理システムのようなもの。お店の在庫をオンラインで消費者に告知し、無人で予約業務を確定することができる。 お客にとって、訪問する飲食店を決定する要因として「即予約できる」というのは最も大きな理由の1つともなっている。 【デメリット or 疑問】 ただし、電話での予約やいきなりの来店の場合にも必ずOpenTableにデータ入力する必要がある(しかも即座に)。それを忘れると、在庫数不整合が生じ、インターネット経由で予約したお客の来店時に空席が無い、ということも生じ得る。 ↓ (しかし、秒単位・分単位で席を取り合うような人気店でも無ければ、そんなトラブルが生じる可能性は極めて少ない。) |
顧客台帳と予約台帳のAll in one パッケージであること | 【メリット?】 顧客管理・予約管理をしっかり行うことができる仕組みを持っているということは、高級飲食店に求める最低限のサービスは保障されていることが推察できる(ただし、OpenTable経由での予約客は一定レベルの期待を持って来店することになるため、店側は期待を上回るものを提供しなければならない)。 事例として紹介されたのが、リピート訪問した際に、必ず支配人がグラスワインをサービスするようにしたお店があるとのこと。なお、サービスされたグラスワインのコストは原価で\300程度で、しかも店側は広報/マーケティング経費から捻出している模様。 級飲食店に対してはどれだけの幸福感を与えてくれるか、が重要であり、その幸福感に対して対価を支払っている。 | 【メリット】 従来、顧客台帳と予約台帳は別々に管理されているお店がほとんどだが、これだと予約してくれたお客が過去に何回来てくれて、何回キャンセルされたのか、などの情報を即座に知ることが出来ない。 予約客がお店に来店した時点で、データを確認すれば、即座に前回の来客日時や同席人数などのデータを確認できる。また、データさえ入力していれば、併せて予約客がどういう属性の人なのか(アレルギーや苦手な食材がある人なのか、どんな食材が好きか、どこの会社の、どういう職制の人で、どういうファッションの人か、など)を知ることが出来る。このため、お店のサービススタッフは、その都度、「訊く」のではなく事前に得た情報を元にした「攻め」の提案ができる。 【疑問・課題】 データベースの項目追加・変更・削除などは自由に行えるのかどうか疑問。例えば、顧客データの項目にTwitterやfacebookアカウントを入力するための専用項目はあるのか? 飲食店サイドは予約、来店の都度、店内のルールに基づいたデータ入力と管理が必要だが、そのためにはそれなりの知識、知恵が必要なため、自力で使いこなせるようになるには、相当な努力が必要と思われる。ただし、それをやり切れば、他店より頭一個抜け出せる可能性が増すことは明らか。 専門性の高い高級飲食店は広報/マーケティングのための予算がそもそも無い場合が多い。今後の課題(と言われて久しい・・・)。 |
- その他、印象的だった情報
- 以前から言われているCustomer Relationship Managementを超えた、Guest Experience Management を実現するためのインフラと位置付けるべきシステムである、とのこと。
- 既に米国ではレストラン・サービスの採用条件として"Open Table Enabler" = オープン・テーブルを使いこなせる人 が設定されている例もある、とのこと。
- これは、IT分野で言えば、「MS-Office中級以上レベル、Javaプログラミング経験必須」などと同じようなもので、要はその役割を果たす上で必須の能力としてOpenTableを位置付けているということ(しかし、日本ではExcelやWordを使いこなすにも一苦労、二苦労している飲食店関係者が多いのが実態)。
- しかし、どの業界を見ても、ITは既に目的を達成するためのツール、手段として必須スキルとなっていることを思えば、飲食関係者も現状のままで良い筈は無い。
- 総論
- 「飲食業界には古くからの商習慣や業界の文化があるから、無理、やってる暇は無い」というのは絶対におかしい。そんなの他の業界では通用しない。従来の専門分野や根源価値を活かしつつ、新たな手法を取り入れて経営していかないと、維持できない。という主旨の発言をされていましたが、全く同感。
- 目指すゴールに達成するために、現状のやり方ではダメだから停滞しているわけで、うまくいかないから目指すゴールを変える、というのは本末転倒だと思うのです。初心の際に設定したゴールに一歩でも近づくために、正しいやり方を選び実行することが重要。OpenTableにしても安易に飛びつくのではなく、使い切るための戦略・戦術・論理を構築した上で使っていかないと効果が出ないのは明らか。
- 一方で、如何に戦略的な意味があったとしても、所詮はツールなのも確か・・・大工にとっての金槌やノコギリと同じです。ただ、これらのツール以上に正しい知識と使いこなすための知恵が必要。使い手(飲食店)によって結果が大きく異なってくる・・・と、そういう感じのものだと捉えるのが正しいでしょうね。
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